なぜベトナムで有名な飲食店のMon Hue(モン・フエ)が一斉閉店をしたのか?
2019年10月末ころにベトナムで有名な飲食店のMon Hue(モン・フエ)が一斉閉店をしたという記事を見かけました。しかも夜逃げ同然の状態だったようです。
このMon Hue(モン・フエ)ですが、常に好立地に出店をしているため、ベトナムへ出張するたびに目にすることが多い業態の一つでした。
しかしながら、料理はそこそこの味にもかかわらず、彼らのターゲットの客層に対しては価格が高く価値が低い、そしてその割には従業員のサービスの低さが気になっておりました。
そのため、ピークタイムでもお客さまがまばらな状態が続いていたので、『よく経営が続けてられるなぁ~?』と不思議に思っていた矢先にこのニュースが上がっていたので、正直納得でした。
Mon Hue(モン・フエ)衰退の大きな原因は?
ベトナム現地の一部のニュース報道でMon Hue(モン・フエ)が債務不履行に陥った要因の一つが急速な出店ペースにあると書かれていました。要するに歳出が歳入を上回ったということのようです。果たしてそれだけが原因だったのでしょうか。
飲食店経営ノウハウでもいくつか繁盛店の秘訣をいくつかお伝えしておりますが、飲食店の開業や展開をしていく上で大切なポイントは、ターゲティング、コンセプト立案、立地選定、そして開業前のOFFJT(座学)やOJT(実務トレーニング)があります。
恐らくMon Hue(モン・フエ)では、VCからの資金調達後、目先の結果を求めるあまり、『立地開発力の低下』、『出店時の教育研修不足』そして『業態の陳腐化』などから目を背け、とにかく業容の拡大を急いたのではないでしょうか。
そのため、マーケティングなど必要最低限の調査すら実施せず、集客力のありそうな大型商業施設や路面の一番立地への出店をし続けたのではないかと思います。もちろん、そういったロケーションの場合、来館者や通行量が多いのは事実です。但し、業態コンセプトやメニューなどに地域一番の飲食店になる要素が無ければ入店率を高めることが出来ませんし、賃料に見合った十分な売上を確保することが出来ません。
本来、Mon Hue(モン・フエ)は、フエというエリアで食されている宮廷料理をハノイやホーチミンなどで食べられるように開発された業態だったのではないかと推測できます。
恐らく開業当時は、競合となる飲食店もさほど多くなく、ましてやフエ料理をハノイやホーチミンで食べられる機会は多くなかったため、店舗数が少なければ希少性もあり、それだけで来店動機に繋がっていたはずです。
しかしながら、業容の拡大と競合店舗の台頭が増してきた中で、希少性は薄まり自社競合が発生し、さらに力をつけてきた他の飲食店に力負けしてきたのだと思います。
もちろん、それでも選ばれる店舗するための企業努力、例えば集客商品の開発や商品カテゴリーの見直しなどを重ね、さらに魅力ある業態へと変化をさせていくべきところでしたが、それをせず(もしくは、出来なかったのか理由は定かではありませんが、、、)大きな組織改革や業態の変革もなされることなく、結果としてお客さまの不満足の上に飲食店が成り立っていたのではないでしょうか。
さらに飲食店のチェーン店舗化で重要な役割を持つSV教育を怠り、店舗のQSCAのスタンダードを高められず、最低限のサービス基準すら満たすことが出来ない飲食店になってしまったのではないでしょうか。
これらの要因が重なり最終的には債務不履行に陥り一斉閉店へと追い込まれたのだと考えられます。
現在のMon Hue(モン・フエ)の状況
ベトナム現地のニュース報道では、Mon Hue(モン・フエ)の親会社であるフイベトナム食品加工JSCが、外国の投資ファンドより総額で7,000万ドル(75億円)を調達し、2014年の14店舗から2015年末までに110店舗の7倍に増加。そして、香港証券取引所への上場を計画しており、さらに1億ドル(107億円)を調達し事業拡大を考えていたようです。
しかし、今回の件で、その計画はすべて失敗に終わり、 Mon Hue(モン・フエ)飲食店チェーンは、2019年10月末に予告なしに全国の80店舗を閉鎖しています。
さらにMon Hue(モン・フエ)飲食店チェーンに7000万ドルを注ぎ込んだ外国投資家は、親会社の創設者を詐欺容疑で訴えているようです。
投資家グループは、全国80店舗の閉店をめぐり、モンフエの親会社であるフイベトナム食品加工 JSCの創設者であるフイニャット氏をホーチミン市の人民法院に提訴しました。
(※投資グループは、外国投資ファンドADVパートナー、AIFキャピタル、F&H Fenghe、Fortress Investments、Gryphus Capital、Welkin Capitalで構成されており、2013年以来フイベトナム食品加工JSCに7000万ドルを投資している)
食材を提供していた取引先なども代金の回収の目途が立たない状況が続いているようです。