5Sとは整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)の頭文字からくる造語です。
実は飲食店経営において、この5Sの考え方が非常に役立ちます。
今回は飲食店の店長の立場から5Sを考えてみたいと思います。
飲食店で5Sの考え方を取り入れるうえで、まずはじめに実施すべき作業は以下の2点です。
- 5Sのポイント①:飲食店の整理対象となる物(モノ)を全て取り出す
- 5Sのポイント②:飲食店における全ての業務(コト)をリストに書き出す
5Sの整理
飲食店の5Sの実施時に整理対象のモノ・コトは3つのカテゴリーに分類できます。
5Sの整理①:必要なモノ・コト
5Sの整理②:今すぐに必要のないモノや必要だけど後回しにできるコト
5Sの整理③:必要の無いモノ・コト
飲食店における5Sの整理の基本は、6ヶ月以上触れていないものは捨てる、もしくは必要な書類等であれば一旦倉庫やベンチシートの下などの収納への移動にあります。
それを5Sの実施時に、どこに何を収納したのかが一目で分かるように管理シートの作成をお勧めします。
あれはどこに収納したっけ?
と、ならないよう収納場所と品目を紐づけられる仕組みを取り入れると紛失せず、探す手間や時間を最低限に抑えることができます。
5Sの整理①:必要なモノ・コト
店長として飲食店運営において、日々の業務に追われる中でも、絶対に欠かせない下記のような業務があります。これは5Sの分類で必要なものに分類されます。
- 飲食店経営の日々の発注業務
- 飲食店のマネジメント報告業務
- 飲食店の日々の仕込み業務
- 文房具や什器備品
- 定期的な報連相(報告・連絡・相談)業務
- 飲食店の年間販促計画策定(戦略面)
→季節メニューの導入、イベント企画、グランドメニューの改定など、売上アップを図るために店舗で実施される販売促進計画を年表にて作成。 - 飲食店の月間販促企画立案(戦術面)
→年間の販促計画に沿って、具体的な販促内容を考えていく作業。
例えば、季節メニューであれば、1から3月が旬の菜の花を使用した『自家製からすみと菜の花のパスタ』など、旬の食材を意識したメニューを企画し、仕入れやPOPなどの販促物制作へ反映。 - 飲食店で働く従業員との定期面談
→新たな目標設定や評価などをフィードバックしていくために実施。 - 飲食店のQSCAに関わる業務全般 …etc
5Sの整理②:今すぐに必要のないモノや必要だけど後回しにできるコト
5Sの整理時に、現在飲食店で使用していない什器や備品を片付け、モノを探す手間や時間の削減に努めます。
また5Sの整理時に時間に追われるないで計画的な業務遂行に向け、これらに優先順位をつけていきます。
その際に下記のように後回しにできる仕事(コト)が飲食店の5S業務整理で見えてきます。
- 飲食店の取引先や業者さんとの打ち合わせ
- 今すぐやる必要の無いデスクワーク
- 今すぐやる必要の無いパソコン業務
- 過去の月報や日報などのデータや書類
- 取引先のパンフレットや見積もり書
- 飲食店の各設備や機器の説明書
- メニューに使用しない皿や鍋などの調理器具 …etc
5Sの整理③:必要のないモノ・コト
飲食店の5Sの整理において廃棄対象の物(モノ)や業務(コト)を指します
5Sの整理を通じて、時間と場所の無駄を削減し、新たな価値を生み出す可能性を高めます。
- 飲食店の売上に直結しない長時間の打ち合わせ
- 飲食店運営において実用的で無いマニュアル作り
- 定位置管理不足で探し物をしている時間
- 壊れているイーゼルやポスターフレーム等
- 再利用機会の無い過去のメニュー表やポスターなどの販促物
- 厨房内にある使用機会のない什器・備品 …etc
5Sの整頓
飲食店では、使用頻度の高いものから手の届く位置へ配置しましょう。
5Sの整頓:厨房の場合
見える化を目的に5Sの整理時に何がどこにあるのかを分かり易くラベルなどで表示しておきましょう。
厨房のラインにて料理を作る場合、最低限の動作で料理が完成できるように調味料や材料(仕込み品を含む)を配置しましょう。
膝を曲げる回数も一度で済むように材料を収納できれば体への負担を軽減できます。
仕込みの場合も同様に、肉、魚、野菜など、定数・定位置管理を徹底し、誰でもどこに何があるのか一目見てすぐに分かるように配置します。
もちろん冷蔵・冷凍庫は、先入れ先出しルールを基本に古いものから使用できるよう収納しましょう。
5Sの整頓:ダイニングの場合
5Sの整頓では、営業用の什器・備品やオーダー端末などは、定数・定位置管理を基本に配置します。
文房具
ハンディー(スマホ)端末
レジロール在庫
機器トラブルシューティング用説明書
手書き領収書(POS不具合時用)
手書き伝票(POS不具合時用)
予備メニュー
包材関係
納品伝票 …etc
5Sの清掃
5Sの清掃は、飲食店の店内と店外、事務所、厨房の隅々までゴミや汚れのない綺麗な状態にしていくことを指します。
飲食店のダイニングであれば、入り口のガラス、棚板、トイレ、テーブル、椅子、床、メニュー、カトラリーなど、お客様の目に触れるもの全てをピカピカに磨け上げます。
飲食店の厨房内であれば、お客様の安心安全を担保するもの全てをピカピカに磨き上げます。
例えば、厨房内の床、排水溝、グレーチング、グリストラップ、冷蔵冷凍庫内の棚や取っ手やパッキン、熱機器、食器、鍋などの調理器具、ごみ箱、キッチンプリンターなどがそれに当たります。
5Sの清潔
5Sにおける清潔とは、整理、整頓、清掃を徹底し、飲食店内や事務所を常によどみのない綺麗な状態に保つことを言います。
5Sの躾(しつけ)
5Sの躾(しつけ)の目的は、お客様に気持ちよく食事を楽しんで頂けるよう、飲食店で働くメンバーに対して最低限のルールを課し、作業や行動を習慣化していくことです。
- 納品業者さんや従業員同士のあいさつを徹底
- 入店時の手洗い、うがい、体温チェックの励行
- 飲食店の業務に関わる報告、連絡、相談の徹底
- 作業中のアイコンタクト
- 作業中はフェイスアップを基本
- クレーム時は即謝罪と店長への共有
- 飲食店内はスマイル120%
- 飲食店業務の優先順位の把握 …etc
まとめ~5Sを用いて飲食店の店長業務を効率化していく方法~
5Sを用いて飲食店の店長業務を効率化していくために、まずはモノとコトを全て引っ張り出し、整理していくことが大切です。
その上で、
- 飲食店で無駄な作業をしていないか
- 無駄なモノやコトが身の回りに無いか
- モノや情報(コト)を探す時間を無駄に掛けていないか
を念頭に、業務や備品を取捨選択していきましょう。
5Sの考え方を用いて業務シンプルにできれば、やるべきことがさらに明確になるため、飲食店で注力すべきことが見えてきます。
そこに経営資源であるヒト、モト、カネを投入していくことで、飲食店の業績をさらに向上させることが可能となります。
自店舗に5Sの考え方を取り入れてみては如何でしょうか。
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