飲食店の調理において、火入れが非常に難しいグリルステーキを簡単かつ美味しく仕上げるためのコツや作業手順を具体的に解説していきます。
この方法であればお肉の歩留まりも良くなりますのでぜひ活用してみてください。
和牛サーロインの歩留まり計算
調理前 1070g
低温調理後 1032g
グリル後 991g
歩留まり率 92.6%
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歩留まりの理解度を高めれば、材料費の低減を図り、収益性を高めるために何をすべきかを知ることが出来ます。歩留まりとは使用した材料や素材の分量に対して実際に製品化された出来高を指しますが…
飲食店のグリルステーキが
低温調理で美味しく仕上がる理由
今回は真空パック器と低温調理器を活用します。
鳥肉、豚肉、牛肉など、もとを正せば全てタンパク質で構成されています。このタンパク質を美味しく仕上げるために覚えておくべきことが凝固温度と分水作用です。
凝固温度とは、タンパク質が固まり出す温度のこと言います。実際のタンパク質の凝固温度は58℃から60℃前後です。
そして分水作用とはタンパク質から水分が抜けていく状態を言います。この分水作用が始まる温度帯が68℃からです。お肉を焼いた後にナイフでカットし、赤い水分が出てくる状態があると思います。これが分水作用です。
例えばお肉を焼き過ぎてしまえば、お肉に含まれるたんぱく質は固くなり、旨味を含んだ水分が抜けた状態になります。噛み応えのあるゴムのようなステーキが好きな方は別として、このステーキを美味しいと感じる方は少ないはずです。
※飲食店で調理ミスをし肉を固くした経験がある方であればご理解頂けると思いますが、ステーキの焼成には時間が掛かるためミスをしたらとにかく焦ります(汗)
そこで、この性質を応用し、美味しくステーキを仕上げるために真空パック器と低温調理器を活用した調理法が非常に役に立つので解説していきます。
低温調理を活用したグリルステーキの
調理手順で飲食店の業務を効率化
今回の場合、飲食店未経験の素人でも及第点のグリルステーキを仕上げられる調理法を考えてみました。
ステーキ用のお肉を用意し真空パックに
今回は栃木県産の国産和牛を1kg用意しました。部位はサーロインですが、イチボや内モモなどでも良いと思います。
通常、グリルやスキレットなどの鉄板でお肉を焼成していく場合、冷蔵から常温に戻します。理由は、焼成した際に中心温度と表面温度に差が生じ、中心部分まで熱が通らず生焼けになるためです。
但し、今回の場合は低温調理器を使用しているので、冷蔵庫から取り出したものをそのまま使用しました。こちらの和牛を1/2にカットし、お肉の両面に塩、コショウを振り手で馴染ませませたものを真空パックにします。
その際使用した袋ですが通常のポリエチレン袋(サイズ0.02x200x300mm)です。厚みが薄いと不安に思われる場合は、厚み0.04mmやフリーザーバックなどの袋を活用されても良いと思います。
低温調理器を用意し温度を57℃に設定
低温調理器ですが、基本的には湯せんにて調理をします。
店舗にて仕込む場合は下記のようなコンテナを使用すれば一度に多くの仕込みをこなすことが出来ます。
もちろん寸胴や耐熱の容器でも問題ありませんので、飲食店の客数(仕込み数)に応じて容器をご用意くださればと思います。
今回は、温度を57℃で3時間にて設定しました。
- 温度:57℃
- 時間:3h
お肉に火入れをしている間は他の作業に集中できるため火加減などを心配しなくても大丈夫です。設定時間がくるとアラームが鳴るため忘れる心配も無いです。
低温調理後お肉を湯せんから取り出す
以下は低温調理器の湯せんから取り出した直後の状態です。
色がグレーがかり火は入っています。ただ触れた感じは、プルンプルンのゼリーのような状態です。
このままでも食べれそうでしたが、今回は、厚生労働省が発行している『生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&A』に従い、最終調理をします。
スキレットパンにてお肉全面に焼き色を付ける
スキレットパンでオリーブオイル、ローズマリー、ニンニク、バターを弱火にて温めます。ニンニクの香りが出始めたらローズマリーとニンニクを外します。
少し調理に慣れた方でしたら、ローズマリーをお肉に乗せた状態で肉汁やオイルをお肉にかけながら調理(フレンチ アロゼで検索)をすれば、さらに香りの良いステーキに仕上がります。
焼成後の画像が以下のものです。
表面は少しカリっと仕上がりお肉のタンパク質が緊張した状態になっています。
ここでカットをされる前に少しだけお肉を休ませてください。
理由は肉汁を外へ逃がさないためです。焼成直後にカットをしてしまうとドリップが出ます。肉のジューシーさを保つために少しだけ常温にて待ちましょう。肉の触り心地が少し柔らかい状態になったらカットをして大丈夫です。
グリルステーキをカットし盛り付ければ完成
最後に仕上げたグリルステーキをカットすれば完成です。
特に専門的な調理技術の無い方でも上記の調理手順で、特に湯せんの温度と時間設定さえ守ればピンク色の鮮やかな和牛ステーキを仕上げることが出来ます。
こちらにお好みでトリュフソルトやかぼすのおろしポン酢なども良く合いますので是非試してみてください。
まとめ
~【飲食店調理テク】低温調理で絶品和牛ステーキを作る方法~
飲食店の調理テクについて解説をしてきましたが如何でしたでしょうか。
こちらはステーキだけでなく、煮魚、煮物、焼き魚をふっくらと仕上げるツールとしてご活用いただくことが可能です。
労働人口減少による人手不足への対応策として、またチェーン店化の推進には非常に役立つ調理方法ですので、ご存じないようでしたら一度試された方が良い技術だと思います。
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