居抜き店舗の開業は簡単で尚且つ低投資に感じられるかもしれません。
居抜きの場合、内装、厨房、空調など、必要な設備が全て揃っているケースがほとんどのため新規で追加投資しなくても良いと思われるからだと思います。
そのため居抜き店舗の開業の方が投資が少なくて済むからお勧めだと考えられるのも十分に理解出来ます。
しかしながら、居抜きを検討されるときに一度ここでお考え頂きたいことがあります。
なぜ居抜き店舗として存在しているのか?
当然ですが居抜き店舗を売りに出されている前オーナーさんがいます。
つまり居抜き物件には、退店されたい、もしくは既に退店されたオーナーさんがいるということです。
事情はどうあれ居抜き店舗を手放さざるを得ない状況にあるということです。
そこの原因を究明せずに居抜き店舗にて出店をすれば同じ状況になる可能性が高いです。
そこで今回は飲食店の出店を検討されている方へ向け、居抜き店舗の開業を成功させるために見ておくべきポイントを4つに絞りお伝えしたいと思います。
居抜き店舗になった原因を究明すること
まず居抜き店舗になった理由を把握しましょう。
居抜きになった主な退店の原因は以下の4点だと思います。
①事業継承が上手くいかずリタイアせざるを得ない
②現場での立ち仕事で体調不良が続き事業を継続できない
③採用ができず十分な労働力を確保できない
④十分な集客力を確保できずに売上不振で悩んでいる
例えば①から③の理由で店舗の居抜き譲渡を検討されている場合は契約を検討されても良いと思います。
しかしながら、④が原因の場合、さらに細かく商圏分析されることをオススメします。
例えば、前オーナーさんがカフェ(喫茶店)を経営されていたとします。
競合他社が多く十分な集客力が得られず退店を余儀なくされたケースの場合、同様の業態を開業すれば苦戦を強いられる可能性は十分にあります。
つまり、その商圏内に必要とされない業態を開業したところで成功しないということです。
しかしながら、『ものごと全てをポジティブに捉えてしまう』心理状態に陥る開業者の方がいます。
居抜きでも開業すればお客さんが来てくれるはず
人通りも多く何となく来てほしい客層が居住していそう
居抜き物件の前オーナーの経営に問題があったんだろう
オレが居抜きで開業すれば十分な売上を確保できるはずだ
隣の店舗が売れていない理由はメニューが悪いからだ
前オーナーが退店した原因を究明せずに類似店舗を開業した場合、同商圏内で圧倒的な地域一番店になるためのノウハウを持ちえない限り売上が確保できずに資金不足に陥ります。いずれは退店を余儀なくされ居抜きでの売却になるでしょう。
だからこそ、なぜ前オーナーが売上不振で退店をしたのかを細かく分析すべきなのです。
場合によっては、その立地にて数店舗チェーンを持たれている経営者の方が前オーナーさんかもしれません。
飲食店の経験値が高いにも関わらず、閉店を余儀なくされた理由が存在しているはずです。
前オーナーの退店の原因分析をした上で、ご自身で乗り越えることが出来る商圏なのかを客観的に判断してください。
居抜き店舗は投資コストの低さよりも
集客力の高さを判断基準の一番に置くこと
居抜き店舗で見るべきポイントは、投資コストの低さよりも将来的に集客力のある立地かどうかです。
集客力の高さ 投資コストの低さ
投資コストが低いからという理由で居抜き店舗を見る方がいます。
この居抜き物件、カフェ用の厨房設備、空調、内装、備品など全て揃っているから投資コストは抑えられるし、すぐに開業できそうだわ!
コストを抑えらるからという理由で居抜き店舗にて開業したけど全く集客が出来ないと悩まれるオーナーさんからお問合せを多く頂きます。
理由は、世間一般的に店舗の開業時の初期投資は極力抑えるべきだと言われるから居抜きでの開業を選択されるのかもしれません。
もちろん必要な考え方の一つですし、私もそこを推奨しています。
但し、初期投資を抑えることが優先順位の一番ではありません。
優先順位の一番は、集客力を高め十分な売上と利益を確保し店舗経営を継続していくことです。
さらに申し上げると、居抜きで投資コストを抑えるポイントは別にあります。
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とにかくコストの削減のみに意識が行き過ぎるのではなく、まずは商圏分析をしっかりされた上で居抜き店舗の開業を検討されることをオススメします。
居抜き店舗の仲介業者への手数料を把握すること
居抜き物件の取得にいくら費用が掛かるのかを確認します。
取得費の上限を決める上で、事前に事業計画書を作成しておくことをオススメします。
居抜き店舗の場合、様々な取り引きケースがあり、そのケース毎に手数料も異なります。
居抜き物件の大まかな費用や手数料は以下の通りです。
居抜き費用①:造作譲渡費(20万円~300万円程度)
居抜き費用②:仲介手数料として賃料1ヶ月程度
本来は上記2点のみが居抜き物件に掛かる一般的な手数料です。
しかしながら、業者によっては、居抜き物件の情報提供料などの名目で別途で費用を請求してくる場合もあります。
その場合は、別の仲介業者で同物件が出されていないかを調べてみましょう。
他社では情報提供料を請求されない可能性もありますので一度調べてみる価値はあります。
そして、気に行った物件であっても、物件取得費が事業計画書の上限を超えている場合は別を探す勇気を持たれることもポイントの一つです。
以前のイメージを残さないよう居抜き店舗を改装していくこと
居抜き物件の設備や厨房レイアウトに問題が無いとしても、入口ファサードのイメージや店内デザインがそのままでは新店舗を開業したことを近隣の方に気づいてもらえない可能性が高いです。
そして売上不振を理由に前オーナーが退店をされた場合、以前から店舗を知っている地域の方はお店に対して良いイメージを持たれていないかもしれません。
そのため居抜き物件の少なくとも店頭と店内のイメージは大幅に変更しておきたいところです。
もちろん投資コストが気になるところだと思いますが、大きな費用を掛けずとも、店内の装飾(ペンダントライト、POPや額縁など)を変えたり、壁面や天井を塗装やクロス貼りにて施工すれば低コストで大幅に店舗の印象を変えることは可能です。
何よりも工期を大幅に短縮できるメリットを生かせば工期中の賃料などの無駄なコストを抑えられるメリットが居抜き店舗には十分にあります。
つまり工夫次第でいくらでも居抜き店舗の開業を成功させることが出来るということです。
まとめ~居抜き店舗の開業で押さえておくべき4つのポイント~
今回は居抜き店舗の開業で最低限押さえておくべきポイントを4つご紹介してきました。
もちろんこちら以外にも居抜き物件の選定時に抑えておくべきポイントはありますが最低限押さえておいてほしいことを解説しました。
居抜き物件の選定で、優先順位がズレてしまうと、開業後に思わぬコスト増に繋がる可能性がありますのでぜひご注意ください。
今回の記事が居抜き物件を検討されている皆さんの判断基準に少しでもお役に立てれば幸いです。
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