飲食店の人件費を30%以内に収めるための考え方

飲食店経営において人件費のコントロールが一番難しいところであり、この管理の仕組みを確立することができれば非常に経営をしやすくなります。

どうしても固定費になりがちな飲食店の人件費を正しくコントロールし、変動費へと移行することができれば環境の変化など、危機的な局面でも店舗や会社の延命措置を図ることが可能になります。

人件費のコントロール手法を学び飲食店の収益性をアップ

お店の売上と反比例して人件費率のコントロールが出来なくなっている

飲食店の売上がアップしないのはメニュー数が少ないからと考えている

闇雲にメニューを増やし、お店の人件費がコントロールできていない

設備のスペックに合わない商品を増やし人件費を増やさざるを得ない

提供時間に大幅な遅れが発生し、お客様からクレームが頻発している

実は開店から今日に至るまでの間に様々な環境の変化に対応すべく必死に努力をされてきた飲食店が直面する問題や課題です。

日々の営業に追われ、業務改善を出来ずにいること、そしてお客様からの要望に応えるあまり、飲食店のメニュー数がドンドン増加していることなどが原因の一つです。

今回は実際の実例も交えながら、飲食店の人件費を正しくコントロールし、効果的に削減するための考え方をご紹介していきます。

飲食店の商品戦略、業務改善、教育をセットで人件費管理を推進

「飲食店の人件費をコントロールし、変動費にすべき」や「一人二役三役でチームを多動化し人件費コントロールで効率を高める」、などとよく言われます。

私もこの考え方は大賛成です。但し、お店の人件費をコントロールし労働時間の削減を図る上で留意すべき点が4つあります。

飲食店の人件費コントロールで留意すべきポイント4点

ポイント①:飲食店の労働分配率を意識し商品戦略を見直す

飲食店の商品戦略を見直す上で、調理カテゴリーごとの売上、労働時間と人件費を算出し、労働分配率を把握することがコントロールする上で重要です。

利益貢献度の低いカテゴリーを縮小し、貢献度の高いカテゴリーを拡大することで飲食店の人件費を見直します。必要に応じて厨房の調理カテゴリーを減らすことも検討しましょう。

人件費コントロールと密接に関わる労働分配率の記事はこちら

飲食店の労働分配率の計算方法とその考え方

「労働分配率とは財務分析の生産性を算出するための考え方の1つです」や「付加価値に占める人件費の割合を示す経営指標です」と当時教わる機会がありました…

ポイント②:モノの配置を見直し作業効率を高め人件費を低減化

基本的には手を伸ばして届く位置に必要な全てのモノを配置するべきです。一歩の削減、一分一秒の労働時間の削減が人件費のコントロールには不可欠です。

現在働かれている従業員の平均身長をもとに厨房レイアウトを再考しますが、大袈裟なことをする必要はありません。例えば吊り戸の下に100円ショップの棚を取り付け、コールドテーブル上を整理できる工夫をするなどです。とにかく従業員が働きやすい厨房に変え、作業時間を低下させ全体の労働時間を削減し、人件費をコントロールし易い環境を作ります。

労働時間を削減し人件費をコントロールするためにモノの配置を再考する
人件費を適正化にコントロール出来るようなレイアウトを作成する

ポイント③:教育によるスキルアップを図る

飲食店チェーンで良く見かける光景ですが、単純に人件費をコントロールし削減することは難しいことではないです。

なぜ人件費がコントロールできないんだ!

人件費のコントロールが出来ないならタイムカードを打つな

人件費のコントロールが出来ないから採用はしない

コントロールが出来るようになるまで一人で営業して

残業禁止、でも人件費はコントロールして

現場からすれば、『人件費のコントロールって言うなら自分でやってみてよ』と言いたくなりますね(笑)

でも、逆に現場サイドとして、どのように人件費をコントロールし、削減していくのかを上司に説明する必要はあります。

人件費の低減には、作業効率を高める必要があります。

先ほど、人件費をコントロールできる環境を整える必要があるとお伝えしましたが、効果的に労働時間を削減するには、従業員一人一人の成長も必須項目です。

計画的な教育スケジュールをもとに研修を進め、各個人の作業スピードや能力を高めていくのです。

逆に、従業員の能力が上がらないのは教える側の責任です。もしも調理マニュアルやレシピがお店に無ければ、それらの作成を進めていきましょう。

従業員の作業スピード向上で、人時売上高を高め、人件費のコントロールを実現します。

人時売上高の理解は、人件費コントロールに不可欠です

飲食店の人時売上高の説明に使用している画像データ

飲食店の人時売上高導入で儲かる仕組みを構築

飲食店を開業し、お客様は来てくれるようになり、毎日朝から晩まで忙しく働いている。ただ思うように利益が出ないのはなぜかとお悩みの経営者様へ向けて、必ず着目すべき経営指標の一つである人時売上高について解説していきます。

ポイント④:単純に労働時間を削る人件費の低減はダメ

最後に、単純な労働時間の削減による人件費のコントロールは、飲食店の崩壊を招きます。

料理提供の遅延やサービス力の低下などを引き起こし経営自体が危うくします。人件費をコントロールし、コスト削減ばかりに目を向ければ、従業員の士気は低下します。

まずはコミュニケーションの頻度を高め、理解を得ましょう。そして、上記3点を基本に人件費コントロールを進め、効果的な労働時間の削減による効率化を目指していきましょう

飲食店の出数データをもとに各調理場ごとの人件費を算出

人件費のコントロールで労働時間を削減するために実施することはデータ分析です。

必要データ①:ウリ商品の出数

必要データ②:ウリ商品の総売上

必要データ③:主力カテゴリー全体の出数

必要データ④:主力カテゴリーの総売上

飲食店のメニュー品揃えに考え方はあるのかでも説明しておりますが、店舗の強みを徹底的に数値化、可視化することから始めます。

まず曜日別のウリ商品と主力カテゴリーの出数と総売上を平日と週末(繁忙日)でその出数と売上の傾向に違いはあるのかなどの詳細データを可視化(見える化)します。

次に調理場内のポジション毎の売上とそこに掛かる労働時間、そして人件費の額と粗利益の額などを細かく調べます。

調理カテゴリー毎の労働分配率を算出し、どのポジションの労働時間を削減し、人件費をコントロールすべきかの判断材料にします。

下記の表はある店舗のコンサルティングをした際に人件費を可視化するために作成した資料です。
※労働分派率については、飲食店の労働分配率の計算方法とその考え方‎にて説明をしておりますのでそちらをご確認ください。

要するに飲食店の調理カテゴリーを数値にて可視化し、感覚にて判断していたことをデータに置き換え、客観的な分析をしていきます。もちろん慣れていないとある程度時間は掛かりますが、勘や感覚に頼ることは飲食店経営において非常に危険ですのでぜひチャレンジしてください。

次に具体的な人件費をコントロール、削減するまでの流れを説明します。

先ほども少し申し上げた通り、ポジション毎の人件費と労働分配率をポイントに表を確認します。この表をご覧になって頂くと、炒め場と刺し場の労働分配率が高く、生産性が低いということが分かります。

労働分配率が高いということは、その飲食店の人件費の粗利益に対する貢献度が低いということを意味しています。

要するに人件費を使い過ぎている可能性があるのでコントロールをすべきことが分かります。

飲食店の調理カテゴリーの削減も視野に

先ほど作成した表でも分かる通り、調理カテゴリーの中で炒め場と刺し場の生産性が低く、一見飲食店への貢献度が低いポジションであり、人件費をコントロールすべきだと見受けられます。

但し、ここで人件費をコントロールすべきかの判断を下す前に考慮すべきポイントが一点あります。

それは、メニュー戦略を加味した上で、人件費をコントロールすべきかを判断することです。

こちらの表の飲食店では刺し場の調理担当が、寿司、刺し身、サラダなどの調理を兼務しておりました。そして、この店舗の主力カテゴリーが寿司と刺し身だったわけです。

そのため今回は炒め場のメニュー数と表記のスペースを縮小し、焼きものと寿司のメニュースペースを拡大し販売量を増加させる戦略をとりました。

そして炒め場で削減コントロールされた人件費を焼き場と刺し場へ割り振るよう計画を立てました。基本的には総労働時間数とメニュー総数は変更せずに、主力カテゴリーの生産性を高める戦略を取りました。

要するに、商品出数のコントロールを目的としたメニューコンサルを実施しました。

こちらのコンサルティングをした結果、店舗の売上は向上し、逆に人件費のコントロールが出来るようになりました。

その理由は以下の3点に集約出来ます。

理由①:ウリ商品を中心とした主力カテゴリーの商品力がさらにアップ

理由②:メニューの出数が焼き場と刺し場に集中し提供速度と回転率がUP

理由③:お客様の満足度が高まったことによりリピート率が上昇

実はコンサルティング後、最初の2か月間はお客様からのクレームや若干の売上減少はありました。その後、ウリ商品や主力カテゴリーのオーダーが集中しはじめ、店舗全体の売上がアップ。しかも炒め場は労働時間のコントロールで人件費が低下し、店舗全体の収益改善を実現することが出来ました。

まとめ ~飲食店の人件費を30%以内に収めるための考え方~

今回のケースのように今までの考え方や習慣からの脱却で、大幅に業績を回復しながら労働時間を削減し人件費をコントロールしていくことは可能です。

コントロール、コントロール、とプレッシャーをかけることも時には必要かもしれません。

しかしながら、人件費をコントロールできる環境を与えていないにも関わらず、コントロールしろと叫ぶだけでは何も解決はしません。

タオルの水を絞り取るように労働時間を削減し人件費をコントロールするのではなく、まずは働き易いレイアウトを構築するなどの仕組みづくりと、必要最低限の売上確保のための戦略を同時進行で実施するべきだと考えます。

そのような人件費のコントロールであれば飲食店へのストレスは最小限で済みます。

固定観念や既成概念を捨て、ご自身の運営されている飲食店を客観的に見直すタイミングは必ず訪れます。是非、こちらの考え方を活用し、売上アップや人件費のコントロールの改善に役立ててくださればと思います。

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