飲食店のメニュー品揃えに考え方はあるのか

もちろん飲食店のメニュー品揃えに関する考え方はあります

例えばこんな飲食店に行った経験はありませんでしょうか。

●「メニューブックが数十ページにも上り、何を食べれば良いのか迷ってしまう」
●「店員の方にお勧めは何かと聞いたときに、『全部美味しいです』、『お客さまの食べたいと思う商品がおすすめです』と言われた」
●「店内のいたるところに強弱無くポスター・ポップが貼り巡らされている」
●「お客様の要望にとことん応え、全てグランドメニューに掲載している」
●「オーダーされる方が少ないのに常連さん用の商品を常に持っている」
●「業態コンセプトから大きく外れた品揃えをしている」

断言できますが、これでは飲食店は繁盛しません。
なんでもある飲食店は、突き詰めるとなんにもない飲食店と変わらないからです。お客様の立場で言えば、入店前から何を食べるべき飲食店なのか分からなければ入店すら繋がらないからです。

こんなメニュー品揃えの飲食店は繁盛する

逆を返せば、商品戦略で重要なことの一つに、その飲食店で【ウリ(売り)】となる商品は何なのかということが挙げられます。そしてメニューの全体像はコンセプトによって決定されるのです。
つまり、はじめに、商圏人口から、総合的な商品構成がいいのか、専門的な商品構成がいいのかを決定します。次に業態コンセプトに合わせた品揃えをし、飲食店の顔を作ります。最後に【ウリ商品】を目立たせる品揃えをしていくことで、何を食べる飲食店なのかを明確にお客様に伝えられるようにします。そして従業員全員が【ウリ商品】をおすすめできる環境を構築していきます。

飲食店のメニューには3種類の役割がある

飲食業界に携わる方であれば一度は触れたことのある考え方に『ABC分析』というものがあります。メニューを売上などの重要度の高い数値によって分類する手法のことを言います。例えば売上に焦点を絞った場合、売上構成比の高い順に商品を並べて、上位60%までの商品構成比に属している商品群を「A商品」、80%までの商品構成比に属している商品群を「B商品」、それ以下の商品群を「C商品」と呼ぶ考え方です。しかしながら、前述した通り商品にはそれぞれの役割があり、「A商品」を際立たせるために存在する「C商品」があり、一概にABC分析に頼るのは危険なのです

大切なのは、商品に対する考え方を持つことです。
まず、一番目に「集客メニュー」があります。
その名の通り、それを目掛けてお客様を呼び込む商品のことです。
次に「収益メニュー」です。
例えば「集客メニュー」の原価率が60%だとした場合、「収益メニュー」は、10%台に抑え、粗利をしっかり稼ぐための戦略メニューに位置付けます。
最後に「品揃えメニュー」です。
ただあるだけでよく、注文されなくても置いておかなければならないメニューのことを言います。要するに「集客メニュー」と「収益メニュー」を際立たせるための商品です。
この3種類がメニュー構成には必要であり、安易に「C商品」だからといってメニューから外すことはメニュー全体のバランスを崩す、とても危険な判断になる可能性があるのです。

メニューの品揃えにはもう一つの考え方がある

実は上記以外にも3種類の考え方があります。
こちらでご紹介する3種類の考え方を前述したものと照らし合わせて正しい商品構成を導き出すために役立ててください。
まず一つ目が、「売れ筋メニュー」です。
こちらはポップや差し込みメニューなどが無くてもドンドン売れていくメニューのことを指しています。
次に二つ目が、「売り筋メニュー」です。
飲食店が意図的に販売数を伸ばしていきたいメニューのことを言い、ポップや差し込みメニューを活用し、出数を伸ばしていくメニューのことです。
最後に、「見せ筋メニュー」です。
その存在があることで話題性のある店舗が作られているメニュー。例えば、海鮮業態の店頭の水槽に入っている『伊勢海老』などがそれに当たります。
この「見せ筋メニュー」にこそ、店舗の格付けをするための要素が強くあるため、ABC分析で「C商品」を安易に削除する手法は現実的に商品構成を考えていく上では非常に危険な行為だと言えます。

そのため、繁盛店を作るためのメニュー戦略には、上記の考えた方を十分に理解した上で、「C商品」や「見せ筋メニュー」でその店らしさを作り上げていくことをしていただければと思います。

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