飲食店の集客力アップを実現【具体的なコンサル事例にて解説】

持ち帰り寿司コーナー併設の飲食店のメニューコンサルティング事例

実際の事例を通じて、飲食店のメニューコンサルティングを通じて利益の最大化を図るための考え方についてお話をします。

飲食店経営において集客力を高め、売上を上げていくことは非常に大切です。そして、飲食店の商売を継続していく上で考えの中心になるのは利益をいかに生むかということになります。

今回は、お持ち帰り寿司コーナーを併設している寿司業態のメニューコンサルティングの事例をご紹介します。

こちらの飲食店は乗降客数が一日60,000人ほどの商圏にお店を構えておりました。
商店街立地でしたが、そのゲートの一番奥に位置するため立地としては良くありませんでした。但し、賃料も比較的リーズナブルなため、何とか経営自体は成り立っている状態でした。

メニューコンサルティングStep1:クライアント先が抱える課題は大まかに2つ

事前に飲食店のオーナー様から共有を受けていた課題は以下の2点でした。
数年間、飲食店を経営をする中で、あの手この手と様々な対策を打たれてきたようです。ウェブ媒体などを活用し、一過性の売上アップはあったものの、根本的な解決が出来ないとのことでした。

飲食店が抱える2点の問題

抱える問題①:鮮魚を含む食材の高騰で原価率が40%まで達していた

弊社のコンサルティングを導入された際に、鮮魚を使用するお持ち帰り寿司メニューと店内用の握り寿司メニューの材料費の高騰が飲食店全体の原価率を押し上げている要因であることは明らかでした。さらに、原価率の高い商売をされていたところに、仕入れ先からの値上げの要請があり、ダブルで飲食店の経営を圧迫されていました。

抱える問題②:集客力の低下に伴う売上の減少を止めることが出来ない

集客力も年々低下し続け、利益の確保が非常に難しい状況に陥っていました。もちろんネット媒体などを活用し集客力の向上に努めていたようですが、立地が商店街の奥まった場所にあり、さらに駅前に大手チェーン店があり、お客様がそちらに流れていたことも原因の一つでした。
しかしながら、それ以上に商圏と業態コンセプトにミスマッチがあるのは明らかでした。

メニューコンサルティングStep2:クライアント先で発覚した4つの課題

今回のコンサルティングをする上で、飲食店のオーナー様が希望されていたことが即効性でした。
そのため、まずは競合他店舗のメニュー分析などを含む商圏分析を実施し問題点の抽出から始めました。そのマーケティングで明らかになった4つの課題が以下の通りです。

飲食店のマーケティングで顕在化した4つの課題

課題①:飲食店の商圏内でターゲットの選定を間違えている

こちらのクライアント先では、客単価4,000円以上を利用される客層をターゲットに選定されていました。そのため一品当たりのボリュームを少なくし単価を高める予定だったようです。しかしながら、実際の平均客単価は3,000円台。
要するに、金額を考えながら食事をされているお客様が大半のため、予算内で収めようとするとボリュームが少なく満足度は低くなっていたのです。

課題②:飲食店の料理とドリンクメニューの価格帯とその数が適正でない

料理の価格帯が25種類、そしてドリンクの価格帯18種類と多すぎるため、大まかな客単価をイメージしづらいため、店頭にポスターなどを掲出しても入店を躊躇するケースが目立っていました。

 飲食店のコンサルティング前のメニュー構成一覧

メニューコンサルティング前
料理の価格数 25種類
料理の品数 72品
料理の中心価格帯 580円と980円
ドリンクの価格帯 18種類
ドリンクの品数 59品
ドリンクの中心価格帯 400円と480円

ポイント③:料理の中心価格帯が商圏内の競合店舗よりも圧倒的に高い

中心価格帯とはその名の通り、メニューの価格帯の中で一番数の多いアイテムのことを指します。下の表とグラフをご覧ください。これらの価格が客単価を決定する要素となりますが、商圏内の競合店と比較をすると3割以上高いことが判明しました。

 飲食店のコンサルティング前のメニュー構成

メニューコンサルティング前
料理の価格数 25種類
料理の品数 72品
料理の中心価格帯 580円と980
ドリンクの価格数 18種類
ドリンクの品数 59品
ドリンクの中心価格帯 400円と480
 メニューコンサルティング前 料理の商品品揃え一覧
 メニューコンサルティング前 ドリンクの商品品揃え一覧

課題④:寿司屋というだけでウリ商品がないためリピートしづらい

もう一つの問題が「飲食店のメニュー品揃えに考え方はあるのか」でも説明した通り、こちらの飲食店にはウリ商品が全く存在しないメニュー構成でした。
寿司屋というだけで、どこに一番力を入れていて何を食べるべき飲食店なのかが全く分からない状況でした。そのため、お客様の記憶に残り、人に伝える口コミなども発生しづらく、リピート客を生みづらい状態でした。

※余談ですが、某ビールメーカーさんへメニューコンサルティングを依頼されていたようですが、寿司店のメニューにも関わらず、その企業のアルコール商品をPRするためだけのメニューコンサルティングとなっていました。

メニューコンサルティングStep3:課題解決に向けた取り組み

今回判明した課題をもとにメニューコンサルティングを3つの項目に分けて実施。

課題解決に向け実施した3項目

実施項目①:商圏内で消費意欲の高い男性をメインターゲットに選定

今回の飲食店コンサルティングで一番重要なポイント、それがターゲットの再選定です。
クライアント先では単価の低いお客様を嫌煙するような傾向があったため、そこを見直すところから始めました。理由は、商圏内で一番多い客層であり、消費をしてくれていた客層が男性客だったためです。

実施項目②:料理の中心価格帯を競合他店舗に合わせ商品価値をアップ

下記の商品一覧の通り、商品の品揃えを見直しました。
特に飲食店の料理は大幅に変更し、おつまみメニューなどの拡充を図りました。

 飲食店のコンサルティング後のメニュー構成

メニューコンサルティング後
料理の価格数 12種類
料理の品数 74品
料理の中心価格帯 130円と580
ドリンクの価格数 種類
ドリンクの品数 76品
ドリンクの中心価格帯 380
 メニューコンサルティング後 料理の商品品揃え一覧
 メニューコンサルティング後 ドリンクの商品品揃え一覧

実施項目③:ウリ商品や主力カテゴリーを見直しメニューミックスにて原価率を低減化

飲食店を利用される男性は、漢字、食材、製法、歴史性、限定性、産地、こだわりに特化したメニューの打ち出しを好む傾向にあります。

今回は「築地直送」、「漁港」、「材料へのこだわり」、「まぐろ」、「自家製」、「製法の説明」などメニューに多く掲載し、“寿司の握り”と“一品料理”に中心価格帯を寄せて、入店し易い印象をお客様へ与え、集客力を高めることを目的にしたメニューコンサルティングを実施しました。

※ちなみに女性をメインターゲットにされている飲食店のコンサルティングを実施する場合は、ひらがな、食感、色彩、かたち、ボリューム感をメニューで上手に表現することをお勧めしています。
例えば、写真ではなくイラストにするのも一つの手ですが、その場合は全メニューをイラストにするよう促しています。併せて、現物確認主義であり、総じて予算に対しては非常にシビアですので、メニュー作成時のターゲットの選定には十分に注意を払う必要があります。

併せて、ウリ商品を築地直送のまぐろとし、まぐろ専門カテゴリーを用意しました。
さらにてんぷらなどの売り筋メニューと刺身の盛り合わせや握り三貫などの売れ筋メニューの画像を各ページに3から4点掲載し、出数調整により収益性を高める戦略も盛り込みました。

そして、客単価アップを狙い、麺や椀物など〆の一品も数点加え、料理メニューを構成しました。

当時はドリンクメニューと料理メニューが一冊のブックタイプになっていたため、今回のメニューコンサルティングではそちらを別々にし、ドリンクの追加オーダーをし易い環境と整えました。

ドリンクを利益商品と位置付けていたため、原価率の高いビールや日本酒を紙面の隅へ寄せて、サワー・チュウハイのカテゴリーを30品用意し、出数を伸ばす戦略を取りました。

メニューコンサルティングのまとめ

コンサルティング導入後の結果は、翌月から定休日を週間で1日増やしたにも関わらず、売上前年比は90%から110%、そして原価率が40%から34%となり大幅な収益改善を達成できました。
ここからも分かるようにメニュー次第で大きく数値改善をすることが可能なのです。

飲食店健全化経営コンサルアントの紹介画像

経営コンサルタント 宮城 崇(ミヤジョウ タカシ)

2000年から約20年間外食産業に従事する中、一部上場企業グループ会社の現場から始まり、代表取締役就任後に赤字部門の黒字化を実現。

2012年から同社にて大手チェーン店初の飲食事業のベトナム進出を実現し、3店舗目で月間売上700万円営業利益30%を達成。

その後2016年に飲食系コンサルタントに従事し、飲食店の収益改善や売上アップに関するノウハウを学ぶ。

現在は、飲食店の収益改善ノウハウと現場にて培われた実務経験をもとに、クライアント先の店舗経営の健全化を実現している。

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