飲食店の労働分配率の計算方法とその考え方

今回は、飲食店に勤務しているとあまり聞くことのない言葉、労働分配率について解説をしていきます。この労働分配率を理解するメリットは以下の3点です。

メリット①:労働分配率を活用し収益改善に役立てることが出来ます。

メリット②:労働分配率を活用し、メニュー改定に役立てることが出来ます。

メリット③:経営者の視点で店舗運営を見ることが出来るようになります。

それでは労働分配率にてついて解説をしていきます。

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飲食店を開業し、お客様は来てくれるようになり、毎日朝から晩まで忙しく働いている。ただ思うように利益が出ないのはなぜかとお悩みの経営者様へ向けて、必ず着目すべき経営指標の一つである人時売上高について解説していきます。

飲食店での労働分配率とは財務分析の経営指標の一つ

外食チェーンに勤めている当時、コンサルの方から飲食店においての労働分配率の考え方について学ぶ機会がありました。

労働分配率とは財務分析の生産性を算出するための考え方の1つです

付加価値に占める人件費の割合を示す経営指標が労働分配率です

粗利高に占める人件費の割合を指すのが労働分配率です

飲食店が生み出す価値のうち、どれだけ人件費に分配されたかを示す指標です

しかしながら、その当時は「この人は何を説明しているのだろうか??」という感じで労働分配率の考え方を役に立てることができませんでした。

その時に難しいことをより簡単に説明できるようになろうと思ったことを今でもよく覚えています。

ですので、今回は出来るだけ簡単に説明できるよう挑戦してみます。

まず労働分配率算出の基本となる計算式について下記の表記します。

飲食店の労働分配率の計算式

労働分配率(%) = 人件費 ÷ 付加価値 × 100

前述しましたが、そもそも飲食店の付加価値とは何をさすのでしょうか。

付加価値とは飲食店の粗利益額に置き換えて頂いて問題ないかと思います。

飲食店の労働分配率の計算式

労働分配率(%) = 人件費 ÷ 粗利益 × 100
(※売上 - 原価 = 粗利益)

飲食店以外の産業別の労働分配率について

労働分配率の計算式は前述の通りです。算出した数値は、低い方が効率よく人件費を活用出来ているということになります。

産業別の労働分配率のデータは、経済産業省のサイトで確認ができますが、平成28年度の飲食サービス業の労働分配率は61.9%となっております。

参考までに飲食業以外の産業のそれと比較をしてみましょう。飲食業は労働分配率の観点から見ると生産性の低い商売ということが分かります。ちなみに他産業の数値は以下の通りです。

産業別 労働分配率
卸売業 51.9%
電気・ガス業 20.6%
情報通信業 56.7%
小売業 49.7%
飲食サービス業 61.9%

資料:平成29年企業活動基本調査速報-平成28年度実績より-産業別の労働分配率 

飲食店で労働分配率を用いて人件費管理に役立てる

こちらではより具体的に人件費管理のことをご紹介しています

飲食店の人件費を管理し30%以内に収める考え方

実は開店から今日に至るまでの間に様々な環境の変化に対応すべく必死に努力をされてきた飲食店が直面する問題や課題です。特にオーナー店長として長い間、営業に専念をされていると上記のことさえも気づけず…

飲食店の生産性分析のポイントは、どの調理カテゴリーで粗利益が高くなり、どの調理カテゴリーで低くなっているのかを労働分配率を用いて可視化することが出来ます。

下記の労働分配率を算出した表をご覧いただくと分かり易いと思いますが、炒め場と刺し場の生産性が低く、他の調理カテゴリーに比べ店舗への貢献度が低いことが分かります。

では、単純に労働分配率のみを考慮し、この貢献度の低い調理カテゴリーを無くすべきなのでしょうか。

当然のことながら、答えはNOですね。もしもそれらの調理カテゴリーが無くなれば、そのまま売上と利益が減少します。では、どのようにマネジメントすべきかを簡単にご紹介します。

ここからは厨房のレイアウトや現状の人員配置も関係してくるため一概にこうすべきだという答えを一方的にだすことは難しいです。但し、労働分配率を用いた考え方は下記のようになります。

①焼き場 1名  ⇒  ①焼き場 1名
②炒め場 1名  ⇒  ②炒め場  + 揚げ場 1.5
③揚げ場 1名  ⇒  ③揚げ場 0
④刺し場 1名  ⇒  ④刺し場 + 鍋場 1.5
⑤鍋場  1名  ⇒  ⑤鍋場  0
⑥パントリー2名 ⇒  ⑥パントリー 2名

要するに調理カテゴリーごとに一名を配置していた人員を別カテゴリーも兼務させ、一人二役三役と作業を割り当てることで、全体で一名分の人件費を削減していくイメージです。

飲食店の労働分配率は低ければ良いのか

飲食店の労働分配率が低いということは、粗利益(付加価値)に占める人件費の割合が低いということです。

飲食店の労働分配率が低いほど効率よく利益を出しているという見方も出来ます。

しかしながら、飲食店の労働分配率があまりにも低いのも問題です。

理由は、新たに設備を導入するなどで作業効率を高めずに従業員、特に社員のサービス残業などによる労働時間の増加が背景にあったり、一人当たりの給与水準が低いため労働分配率が低くなっていることも考えられます。

要するに労働環境が悪く、離職率が高いなどの問題が発生し、健全な飲食店の経営が出来なくなります。

飲食店の労働分配率が高すぎるとどうなるか

逆に労働分配率が高い(付加価値に占める人件費の割合が高い)飲食店は、粗利益に対して人件費を過剰に使用している可能性があります。

もちろん従業員の給与水準が高いことは良いことです。
しかしながら、利益高に応じた給与でなければ、周辺環境の変化や日本経済が悪化したときに、赤字になるリスクが非常に高いです。

最悪の場合、飲食店の経営を維持継続していくための体力が無くなり倒産します。その場合、飲食店の閉店に伴い、従業員を解雇せざるを得なくなり、関わる全てのヒトを不幸にしてしまうのです。

飲食店の労働分配率についてのまとめ

飲食店における労働分配率の役割は、あくまでも飲食業の財務分析の生産性を出すための指標だということです。

この労働分配率のみに頼り、比率が高いからダメ、低いから良いという判断の仕方は危険な考えです。

労働分配率は、あくまでも経営指標の一つであるため、飲食店の数値と状態をしっかりと把握した上での判断が必須です。

例えば、飲食店の人件費を管理し30%以内に収める考え方でも説明しておりますが、現在の自店舗の現状を知り、飲食店の業務改善に役立てるための一つの考え方として労働分配率をご活用頂ければ幸いです。

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