ベトナムの自動車産業の現状について解説【2021年7月現在】

ベトナムの自動車産業ですが、さすがに今年は苦戦しているようです。

各自動車メーカーも軒並み売上の伸び率は低下はしており、この傾向は今年の3月から7月現在まで継続しています。

恐らく8月も同様の流れで推移してくるのではないかと予想されます。

トヨタベトナムとVin Fast(ビンファスト)を比較

ただその中でも堅調に販売台数を伸ばしているVin Fast（ビンファスト）は、大幅なプロモーションが功を奏し、7月は販売台数でトヨタベトナムを上回る結果となりました。

こちらがトヨタベトナムとVin Fast（ビンファスト）がそれぞれホームページにて公表している7月度の販売数の実績データです。

　7月度のトヨタベトナムとVin Fastの販売台数の比較

トヨタVN	販売台数	Vin Fast	販売台数
Vios	1,344	Fadil	2,928
Corolla Altis	89	Lux A2.0	778
Camry	241	LuxSA2.0	76
Wigo	98	合計	3,782
Yaris	55
Fortuner	250
Innova	41
Corolla Cross	863
Hilux	422
Rush	169
Land Cruiser	41
その他	4
合計	3,617

ちなみにトヨタベトナムの昨年7月の販売実績は、5,307台でしたので昨年比でみると約▲32%も減少しており、Vin Fastの台頭が大きく数値に影響しているのではないでしょうか。

さらに特筆すべきは、品揃えで圧倒的に劣るVin Fast（ビンファスト）がトヨタベトナムの販売台数を抜いたところですね。
3車種しかないのに…。今後、電気自動車の開発を進め、さらに品揃えを充実させるはずですので、マーケットシェアの奪い合いはさらに激しくなるはずです。

ベトナムでの自動車販売台数の状況

今年1月～7月のベトナムの自動車販売台数の状況を表にまとめてみました。

こちらはベトナム自動車製造業者協会（VAMA）が公開しているデータをもとに作成しています。VAMAの加盟店からの販売実績レポートの集計データがベースになっています。

ベトナム自動車販売台数実績

2021年	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月
乗用車	20,398	9,639	21,089	20,398	17,581	15,802	10,411
商用車	5,741	3,767	9,519	8,887	7,482	7,131	5,163
特別車輛	293	179	619	780	522	654	461
合計	26,432	13,585	31,227	30,065	25,585	23,587	16,035

 

特に今年の7月はロックダウンの影響もあり、かなり厳しい実績となっています。車種別でみると、乗用車10,411台、商用車5,163台、特殊車両461台を含む合計16,035台の販売となり、前月比でみると乗用車の販売は▲34％、商用車は▲27％、特殊車は▲30％減少しております。

但し、前年比でみれば＋33％と依然増加傾向にあり、仮にロックダウンが無ければマーケット自体は大幅に伸びていたと思われます。

7月度の自動車メーカー別の販売実績

7月の各メーカーの販売実績は以下の通りです。

ベトナムの現代（ヒュンダイ）自動車の販売代理店であるTC Motorによれば、7月の販売台数は約▲1,500台の販売が減少しているようです。しかしながら、販売台数では、4,031台（6月比27.5％減／前年比48％減）を記録し、依然トップを維持しています。さらに、1月からの累計販売台数が38,000台を超え、わずかながら前年比でプラスとなっているとのこと。

　各社の販売実績【7月度】

厳しい経済環境の中でもベトナム初の国産自動車メーカーであるVin Fast（ビンファスト）が販売台数で第2位の位置につけています。

まとめ
～ベトナムの自動車産業の動向について解説【2021年7月現在】

自動車業界自体は、ロックダウンによる影響はあるものの前年比でみるとプラス成長を継続していますのでそれなりに健闘しているのではないかなぁ、と感じますね。

特に2017年に創業したばかりのVin Fast（ビンファスト）の成長には目を見張るものがあります。

近年ベトナムでは、トヨタベトナムと現代（ヒュンダイ）自動車でマーケットシェアの約4割を占有している状態が続いていますが、Vin Fast（ビンファスト）の登場で遅かれ早かれこの縮図が大きく変化くると思われます。

今年は年初から感染拡大が続き、GDP成長率の低下が懸念されていましたが、それでも上半期で5.6%と伸びているとのこと。

そして国民の可処分所得も年々上昇しており、ベトナムは今後さらに楽しみなマーケットの一つだと言えるのではないでしょうか。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

今回は以上にしたいと思います。

　関連記事はこちら