ベトナムのハノイで運営する飲食店を再建します

コロナ禍で3年間訪問出来ずにいたベトナムのハノイにある現地法人で運営している飲食店ですが、旧正月後にみるみる売上が低下したため5月末より本格的に再建をスタートしました。これまでの経緯と再建のポイントなどを簡単に解説していきたいと思います。

9月1日更新

6月14日にグランドメニューを変更後、2ヶ月掛けて店舗のQSCAの改善を進めた結果、8月は客数&売上ともに大幅に向上。
9月もこの流れを保ち10月に過去最高収益を目指していきます。

2023年5月売上対比
6月 107.0%
7月 117.0%
8月 164.9%

ベトナム現地の飲食店の再建に至るまでの経緯

2022年のはじめよりロックダウンも徐々にですが緩和されはじめ、ハノイでは少しずつ外出ができる環境になりました。
但し、外国人の入国制限は継続されていたため、ベトナムへの出張は控え、リモートでの打合せを中心に現地のパートナーへ実務は一任。

2022年末までは外出規制の影響で集客力が低下しておりましたが、その中でも収益は確保できていたため、少し安心して状況を静観していました。
ただ今年の2月に客数の低下が目立つようになり、現地のパートナーとオンラインにて下記のようなやり取りをしました。

客数の低下が気になるけど、マーケットの状況を教えてほしい。

パートナー
GDPの成長率の鈍化が著しく所得や国民の消費マインドが低下している。その流れで店舗の集客力が低下してきた。

商圏内の他店舗の状況を調査してほしい。

パートナー
自店舗と同様に商圏内の同業他社も集客力も落ちているようだ。

 

そこで現地現物での状況確認の必要性を感じたため、それ以上の確認は控えておりました。

しかしながら、2023年の旧正月後に収益性が急減し、いよいよ赤字になる可能性が出てきたため5月末よりベトナムへの出張を決めた次第です。

ベトナムの飲食店再建に向けた具体的行動

5月24日にハノイへ到着し、その足で店舗へ向かいました。

そこで実施したのが以下の3点です。

 現地現物でのQSCAの状態確認
 自店舗から3~4km内の商圏を分析
 戦略策定とスケジュールの共有

現地現物でのQSCAの状態確認

飲食店の再建で一番大切なのはQSCAの状態確認です。実は、ここの悪化が客数減少の主な要因であることが大半です。
ちなみにQSCAとは、英語の頭文字を用いた造語で飲食店に従事される方にとってはお馴染みの用語です。

 QSCAとは

Q Quality クオリティ   料理の質
S Service サービス    接客サービス
C Cleanliness クレンリネス  整理、整頓、清潔、清掃
A atmosphere アトモスフィア お店の雰囲気

このQSCAの基準を常に高め、店舗をより良い雰囲気に保つ事が繁盛店への第一歩です。
お客様はお店に非日常を求めています。もちろんファーストフードのように日常食を提供するお店もありますが、それでも自宅で食べるのではなく、あくまでも”外食”です。
非日常の演出は欠かせませんし、お客様から見えないところこそ、さらに磨き上げるべきなのです。そこから働き手の意識が変わり、仕事に誇りとやりがいを持ってくれるようになると考えています。

今回の場合、売上の減少と共に仕事に対するモチベーションも低下し、この大切にすべき非日常が店舗に無くなり、お店が荒廃している状態でした。
 

自店舗から3~4km内の商圏を分析

次に実施したことが商圏内の競合店調査です。

前述した通り昨年末より景気後退が原因で集客力が低下していると言われつつも、実はそれを信じておりませんでした。理由は、ベトナム国民は外食文化で育っています。それがいきなり自炊中心の生活にシフトするとは考え難いのではないかと経験上感じていたからです。

そして、様々なタイプの飲食店を10店舗以上訪れる中で確認出来た事は繁盛店はお客様で溢れているという事実でした。

パートナーが言う、「競合店も集客力が落ちている」は、以前よりも落ちているという事であり、それも感覚値のみ。
私に言わせれば”落ちていると思い込みたい”であり、言い訳とバイアスがそこに存在しているように聞こえていました。

 

戦略策定とスケジュールの共有

最後にパートナーと共に戦略を策定し、そのスケジュールを具体的に決めて行動に移しました。
ここでのポイントは、即日決定し、即行動に移す事です。

一日でも遅れれば、その日が無駄になります。
再建時のポイントは、要因分析と戦略策定を7割程度で即行動し、走りながら改善していくことです。

今回の場合、6月には結果を残す必要があったため現地現物で決定した事を即行動に移し成果を出していかないと間に合わないという危機感の共有も踏まえての事でした。

具体的な飲食店再建までの流れ

具体的に再建を進めていく上で重要なポイントは、行動内容と優先順位を決めることです。それがき決まれば、その日からすぐに状態改善に取り組むことが出来ます。

パートナーと共に繁盛店視察を実施

まず景気後退が要因ではなく、自店舗の問題で集客力の低下を招いた事実を受け入れない限り、改善の一歩は踏み出せません。彼らの心理はあくまでも『景気の後退で、我々には問題は無い』というスタンスです。
そこを理解していたため、まずは自店舗と同様のターゲットの繁盛店が商圏内に無いのかを徹底的に探し、ランチから満席の続く二つのブランドに辿り着きました。
そこのメニューの品揃えや価格設定などを分析し、自店舗が全ての面において劣っている事実を突きつけたのです。

パートナー
ここは商圏外ですよ!

ここまで準備しても、現実からは目をそらしたいものです。

もちろん、3~4㎞離れている立地のため距離だけを見れば商圏外と捉える事も可能です。但し、自店舗からはバイク移動で10分の距離にあり、河川などを挟まない直線で結ばれた店舗です。そのため同商圏と捉える方が自然な立地でした。

ここは同商圏であり競合店だよ。距離だけを見れば商圏外からもしれないが、バイクで10分の距離。ターゲットは自店舗とどちらに行くのかを比較すると思わないのかい?

それでも疑問を持っている様子だったため、それ以外にも数店舗を訪問しながら、現実を受け入れてもらうよう促しました。
さすがに5店舗以上の繁盛店を目の当たりにすると言い訳も出て来なくなります。

店舗QSCAの状態確認とスタンダードの向上

次にQSCAの基準に則って店舗の状態をチェックし、下記の改善項目をピックアップしました。

Q Quality 料理の質

冷蔵庫内、冷凍庫内の整理整頓を実施する
仕入れ在庫は3日分のみに抑える
熱い商品は熱く、冷たい商品は冷たい状態で提供する
ホールとキッチンは常にコミュニケーションをとり注文ミスを無くす
常に質の高い商品をお客様へ提供する

S Service 接客サービス

感じの良いあいさつをする
笑顔で接客をする
お客様とは積極的にコミュニケーションをとる
落ちているゴミはその場で拾う
お客様から目を離さない
私語、雑談、スマホ、ぼんやり、寄っかかりを禁止する
入り口扉の開閉は最高の笑顔でスタッフが行う
クレーム発生時は当日勤務する責任者へ必ず共有し今後の改善に活かす

C Cleanliness 整理、整頓、清潔、清掃

壁面の汚れをピカピカに磨き上げる
店舗のガラスをピカピカに磨き上げる
劣化した目隠し用のカッティングシートを張り替える
剥がれたベンチシートはDIYにて張り替える
日々のゴミ捨て、および店舗内の防鼠作業とネズミ駆除を実施する
店舗内外の電球切れ箇所は即入れ替える
日々の壁面、天井、床清掃を徹底する
トイレは天井から床まで清掃し植栽や額縁などでデコレーションする
トイレに歯磨き粉などの私物、また清掃用具は保管しない
従業員導線の汚れを清掃し常に綺麗な状態を保つ
厨房内の機器、および床・天井などの清掃を徹底する

例えば、剥がれたベンチシートは、タッカーと合皮シートを購入し、作業を通じて改修方法をその場で伝えました。
またトイレの清掃に関してもあるべき姿を共有した上で、ピカピカに磨き上げるまで諦めずに清掃を続けました。

5月と6月の売上推移を単純比較

まず気になる数値ですが、前月の同曜日(木~水曜日)7日間の売上と単純比較をしたところ下記の数値で推移しております。
実際の数字は伏せさせて頂きますが5月末のミーティング後、特に大きな対策は実施せずにやるべき事を決め、滞在期間中に彼らと共に行動しただけですが確実に成果は出せています。

5月4日~10日
6月1日~7日 142%UP⤴

また6月14日にグランドメニューの変更を控えておりますが、事前に季節メニューを投入したため、それが売上上昇に寄与したものと考えられます。
いずれにせよ、大幅な投資をせずに数値改善が出来ているのは良い傾向です。

今後の経過を観測しながら、さらなる改善を進めていきたいと考えています。

まとめ
~ベトナムのハノイで運営する飲食店を再建します~

ところで、そもそも何故店舗の再建が必要になったのでしょうか。

今回の場合、景気後退の局面を迎え、集客力の著しい低下で、売上&利益も必然的に低下したと【勘違い】しています。
ここ3年間の感染症の経験もあり、生き残るためには「無駄取りしかない」と、一気にコスト削減に舵を切りました。
その後は不振店への流れをひた走る流れでした。

とてもお恥かしい話しですが、現地現物で店舗を確認できなかったため、現地パートナーの言葉を信じることしか出来なくなっていました。
もちろん、ここ3年間補助金や助成金などは一切なく、彼らのおかげで何とか乗り切れたため、その言葉を信じる以外選択肢はないと視野が狭くなっていたのも反省すべき点だと感じます。

やはり飲食業においては、現地現物で店舗を、見る、観る、診る、視ることが必須であり、その捉え方を管理者が理解出来るように育てることの大切さを改めて痛感した今回の出来事です。

但し、今後の店舗展開を考えると、今回の問題が我々の成長に好影響を与えてくれる事は間違いないと感じています。
お店は生き物であり、手を掛ければ確実に生き返る事を彼らが身をもって体感してくれた事はとても大きな財産になるのではないかと考えております。

改めて、メニュー変更後の状況も共有できればと思います。

 

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