感染症の終息後に飲食店が直面するリスクや課題

記事のポイント

こちらは緊急事態宣言下に金融機関から融資を受けたにも関わらず、今日現在に至るまで業績が回復していない店舗や企業に向けての記事です。

業績が回復し経営が安定している方にとっては、あまり意味が無いかもしれませんのでスルーして頂ければと思います。

2022年1月1日を迎えましたが皆さま如何お過ごしでしょうか。

いよいよ年も明け、新たな一年がスタートします。

今年は飲食店にとっては試練の年になると考えます。

その理由は以下の2点です。

協力金や支援金が縮小され飲食店としての地力が試される年になる

感染症の影響を受けた事業者に有利な融資制度の存在が逆に経営リスクを高める

 

協力金や助成金が縮小され飲食店としての地力が試される年になる

感染症の影響が軽微になるにつれて行政からの給付金や助成金が大幅に縮小傾向にあります。

さらにこの2年間のリモートワークなどで生活習慣が大きく変化した消費者の生活様式に合わせたビジネスモデルの構築が必要となり、店舗のより一層の自助努力が必要になる可能性が高いからです。

これまでは感染症のまん延の防止を目的に、令和2年の4月から令和3年の10月まで店舗の休業や時短営業、またアルコールの提供を控えるなどをせざるを得ない事業者に対して行政から協力金や助成金が支給されてきました。さらに企業へ雇用の確保を促すために雇用調整助成金の延長などの特例措置が取られています。


出所:厚生労働省 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

しかしながら、ワクチン接種者の増加、および治療薬の開発が進み、感染症がインフルエンザや風邪と同様の扱いになれば協力金や助成金は期待出来なくなります。

さらに飲食店の利用者からすれば、感染症の影響を受けた2年間で生活様式は大きく変化し、アルコールを伴う飲食をしない環境にも慣れてきているのが実情です。

そのため仮に飲食店へ訪問する場合でも、より計画性を伴うものとなり、衝動的な来店であるフリー客の来店が減少する可能性が高くなります。

例えば、昨年12月の21時以降の集客について言えば2019年以前と比較で2次会などは実施されずに帰宅するケースが増加しました。

もちろん今年以降もその傾向が高まれば、外食産業自体の市場規模が縮小することになります。

つまり、ゼロサムの時代と言われていた時代からゼロサム以下のマイナスサムの時代を迎え、より厳しい環境になると考えられます。
 

感染症の影響を受けた事業者に有利な融資制度の存在が逆に経営リスクを高める

また2020年の年初より流行しはじめた感染症の影響により金融機関からの融資が受けやすいなりました。

例えば、感染症の影響を受けた事業者向けに以下のように中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより3年間実質無利子にて融資を受けられる制度などもあります。

出所: 日本政策金融公庫ホームページ 【新型コロナウイルス感染症特別貸付】

もちろん、感染症以前から健全に飲食店経営をされていた事業者にとれば、そのおかげで延命措置が計れた事で、次の一手を打ち易くなったのは間違いないと感じます。

また今後の展開次第では、賃料面で有利なテナントも増加傾向にあること、且つ都心部に集中していた人口が私鉄沿線へ分散するためマーケットの変化を察知し、業態コンセプトを見直す事が出来る事業者にとっては、さらなるチャンスが訪れるはずです。
 

金融機関から返済の能力が無いと判断された場合は注意が必要

しかしながら、融資の使い道を誤り、直接的に収益の向上に寄与しないホームページの制作などに大きな投資をされた飲食店は注意が必要です。

つまり将来的に収益性の改善が見込めない状況にある事業者は、金融機関から繰り上げ返済を求められる可能性が高くなります。

当初は感染症の拡大に伴い、金融機関も経済産業省からの要請を受け、緊急事態宣言の影響を受け大幅に収益性の低下を招いた企業へは貸し付けをせざるを得ない状況でした。

経済産業省は、新型コロナウイルス感染症の影響拡大により緊急事態宣言が再延長されたこと等に伴い、外出自粛要請や休業要請、時短要請、イベント開催制限等による事業者の更なる影響を十分に踏まえつつ、事業者の業況や資金ニーズを積極的に把握した上で、資金繰り支援等に引き続き全力を挙げて丁寧かつ迅速に対応していただくよう、関係機関に対し、以下のとおり要請いたしました。

出所:経済産業省 『事業者の実情に応じた資金繰り支援等の徹底について要請しました』

しかしながら、今後の経営状況次第では金融機関より貸し剝がしに近い形で繰り上げ返済を求められる動きが出てくる可能性があります。

地域に根差した繁盛店であれば、いずれ業績は回復してくるはずです。

但し、これまで苦しい経営を強いられてきた飲食店が感染症拡大のおかげで延命できた場合、緊急事態宣言後の集客に苦戦する事が予想されます。

 

また遅延無く返済している事業者であっても決算書の内容によっては注意が必要です。

例えば、金融機関から決算書の提出を求められた場合、事業者側は拒否出来ません。

その際、遅延なく返済をしている事業者でも完済能力が低いと判断された場合は、店舗閉店に伴う保証金の戻りを内入れに充てられないかなどの話しを持ちかけられることがあります。

もちろん金融機関からすれば返済能力の低い事業者への貸付額は減らしておきたいはずです。

そのため違法性の無い形で貸し剥がしを進めてくるため、個人の知識のみで判断せず税務に強い専門家のアドバイスを受けながら対処される事をお勧めします。
 

まとめ
~感染症の終息後に飲食店が直面するリスクや課題~

前述した通り、感染症の拡大が収まりを見せつつある中、この2年間商売の継続を下支えしてくれていた協力金や支援金は縮小傾向にあります。

また社会保険料などの増税や原材料費の高騰による収益性の悪化は待った無しの状況です。

そのため目下取り組むべき事は、『入るを計りて出ずるを制す』です。

つまり現在の立地で売上の最大化を計り、無駄なコストを最小限に抑える経営の実現です。

特に客数増加でトップを売上高を伸ばし、粗利額を高める戦略を目指したいところです。
 
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もちろん移店が出来ない状況下で、マーケットやお客様の購買行動や来店頻度に変化が見られるようであればターゲットの再選定や業態コンセプトの見直しも必要になるはずです。

もちろん金融機関から融資を受けた以上は返済の義務は発生します。

しかしながら、彼らも商売のため十分な収益を確保している優良な事業者に対しては、さらに貸し付けをしてくれるのも事実です。

まずは自店舗の状況を客観的に分析し、環境に合わせた商売を見出して頂ければと思います。

今回は以上となります。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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