飲食店経営において、なかなか良い人材に巡り会えないと、愚痴をこぼしたくなるタイミングはありませんか。もちろん、気持ちはよーく理解出来ます。
過去に私も同じようなことを感じていました。
募集をかけても応募はない、コンタクトが取れても面接には現れない、採用しても出社しない、出社しても次回のシフトには来なかった…と店長のみならず、教育対象が不在というケースがあると思います。
飲食業におけるヒトの採用や教育にまつわる悩みは絶えません。
そして、この20年間飲食業に携わる中で理解できたことは、景気の良し悪しが飲食業界の採用に大きく作用するということ。そして、これは永続的に続くこと。
さらに将来的に労働人口が減少するのは目に見えています。
そのタイミングが来て、あたふたしないよう、社員や店長教育の仕組みを整え、良い人財を育成出来る環境を整えることが重要だと考えております。
店長を正しく評価できる仕組みも大切
再建の第一歩は優秀人財の発掘から
優秀な人が正しく評価される仕組みを作れば組織に好循環が生まれる
店舗が負のオーラに満ちても、お客様のために孤軍奮闘する人財は必ずいる。その人財を見つけて根気強く教育し、結果を出させ、リーダーにすると、他店舗にまで影響がおよび組織全体が活性化される pic.twitter.com/MvzfZlSewW— 宮城 崇@飲食店専門コンサル (@InshokukenZen) September 7, 2020
ピグマリオン効果を理解し店長教育に活用すること
まずピグマリオン効果を理解し、店長を教育することをおすすめします。
ローゼンタールとジェイコブソンは、高い期待はより良いパフォーマンスにつながり、低い期待はより悪いことにつながると主張しました
カリフォルニアの教育心理学で著名なローゼンタール氏とジェイコブソン氏が提唱しています。
彼らの研究によると、無作為に子供を選別し、事前に『あの子は能力が高い』と教師へ伝えた場合、対象の子供に対する教師の接し方や教育方法が良い方向へ作用し、彼らの成績が高まると主張しています。
要するに、教師が他者から与えられた偽りの期待に影響を受け、子供たちの教育に良い影響をおよぼすため、他の子供よりも成績が向上するというのです。
逆に、参加意欲の高い生徒のいるクラスでは、教師の教育スキルが高まるとも主張しています。
その逆で、飲食店の教育現場で頻繁に見かけるゴーレム効果があります。
この子は伸びないだろう 、と低い期待で店長を教育をした場合、彼らのパフォーマンスが低くなり、高い成長が見込めないという考え方です。
仮にその思いを店長へ言葉で伝えなくても、暗黙の内に相手へ伝わるというのです。
つまり、言葉で伝えなくても店長に対する低い期待は、このゴーレム効果により悪影響を及ぼす可能性が高いと主張しています。
これをお店置き換えれば、店長を教育する上で大切なことは、高い期待を持ち、コミュニケーションを取るべきだということです。
そして、小さな成功体験を積ませ、自信をつけさせる教育方法がより高いパフォーマンスを生む秘訣だということです。
もちろんすべての店長のポテンシャルが高いわけではないと思います。
店長へポジティブな発言を心掛けることは大変かもしれません。
特にパフォーマンスが低い状態では、店長のどこを褒めれば良いのか分からないと思われるのも当然です。
しかしながら、将来的な人不足を考慮すれば、今から飲食店の店長を教育する仕組みを構築したいところです。
ポテンシャルの低い人財でも短期間で一人前の店長へと変貌させられる教育システムを構築できれば、安定した飲食店経営の実現が可能になるからです。
店長の教育内容を整理し仕組化すること
飲食店の店長が育たないと嘆く前に、ご自身の教育内容を整理してみましょう。
もしかすると前日店長へ伝えた内容と、翌日伝えた内容が違い、指示に一貫性が無いかもしれません。
理由は、教育カリキュラムが無いからです。
もちろん店長を教育していく上で、必要なことをその都度伝えているのだと思います。
しかしながら、順序立てて育てることで無駄な混乱や不満を抱かせることが無くなります。
まず、自分自身の指示内容に一貫性をもたせる意味で、教育内容を整理していきましょう。
例えば、
ピークタイム時の人員配置と店長の役割
アルバイト採用時の注意点
日次報告のポイント
クレーム対応の優先順位
計数管理業務(人件費管理、原材料費コントロール、PLの入力方法)
など、店長として学ぶべき事柄を整理し、優先順位を決めて教育することをお勧めします。
店長教育において、難易度の低い内容から高い内容へと移行しながら、徐々にレベルを上げていくように設定する方が混乱が少なくて済みます。
はじめから飲食店の店長に対して求めるものが高くなれば、精神的な負荷が掛かります。結果、ストレスが異常に高くなり、記憶力が低下する可能性が高いのです。
つよいストレスは「もの忘れ」の誘因となります。自律神経やホルモンバランスの乱れなどが、記憶のはたらきに悪影響を与えます。
つよいストレスを受けると脳内でコルチゾールというホルモンの分泌量が増加し(このホルモンはストレスホルモンとよばれます)、記憶にかかわる脳の「海馬」という部位に作用し、記憶力の低下につながるとされています。
もちろん飲食店には様々なタイプのお客様が来られるため、多少のストレスの中で店長を教育すべきだとは思います。
但し、過度な期待で急激な負荷を掛けるよりも、徐々に業務の難易度を上げ、スキルアップを図る店長教育の方が、よりパフォーマンスの高い結果を得られるはずだと考えます。
頑張れば手の届く成長目標を設定すること
前提条件
- 飲食店における店長の評価制度が明確であること
- 店長がコントロール可能な数値目標であること
- インセンティブ制度や昇給制度と紐づいた仕組みがあること
整理した教育内容をベースに店長と上長とで、成長目標を決めていきましょう。
週間、または月間にてミーティングを実施し、客観的に成長度を評価しながら、次のステップで学ぶべき事柄を共有していきます。
そこには自己評価と上長評価を明記し、お互いの認識にズレがある場合は、その差を埋めるための方法を二人で相談し、次の成長目標にしていきます。
営業に専念出来る環境を店長へ与えること
当時勤めていた企業にて、赤字部門を再建した際に、多くのことを学びましたが、店長との接し方を変え、自分の行動を変えた頃から業績が向上し始めたのを覚えています。
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一言でいえば、それは本気で飲食店を再建すると決断をすることです。その覚悟と決心で、組織の再建に臨むことを決意することです。当時の私は…
毎日、店舗へ通い、店長や従業員と会話を交わし、トラブルがあれば率先垂範で真っ先に解決に臨みました。
時にはクレーム対応に臨み、店長の代わりにカフェにてお客様に怒鳴られながら、5時間、頭を下げ続けたこともあります(笑)
なぜそれが出来たかと言えば、最前線にて活躍し、売上と利益を生む店長には営業に専念をしてもらうことが一番大切だと考えたからです。
店長の業務を絞り、その他の雑務を本部へ集約することで、時間や気持ちに多少の余裕が出てくれば、良いアイデアを提案してくれるようにもなります。
さらに、それはパート・アルバイトへも波及し、店長の仕事をサポートしてくれるようになります。
もちろん、その環境を整えることで、逆に言い訳が出来なくなる効果もありますが、あくまでも主の目的は、店長が営業に専念できる環境を構築することにあります。
仕事の三面等価の原則で店長へ権限を委譲すること
仕事の三面等価の原則という考え方があります。
飲食店経営においては、権限と責務(果たすべき義務)と責任が同じ割合で店長へ与えられている状態を言います。
シンプルに言い換えれば、権限を委譲するから店長としての責任と義務を果たしてくださいよ、という考え方です。
逆に下記の図の場合、店長の責務(果たすべき義務)と責任が重く、それに見合う権限を与えられていない状態です。
例えば、売上アップをするために、店頭へ看板を設置したいと店長が上長へ提言したとします。しかしながら、上長からの承認を得られずに売上を上げることが出来ませんでした。
ですが、店長は上長から売上低下の原因を詰められ質問攻めに遭います。
看板を購入する権限を与えられず、店長としての責任と義務のみ重い状態では、店長のモチベーションは上がりません。
店長の果たすべき義務と責任を与えるのであれば、権限もしっかりと委譲すべきです。
そして、店長へは完璧を求めないことも付け加えておきます。
多少の成果でも、しっかりと評価すれば、将来的な大きな成果に繋がります。
もちろん、飲食店でさらに大きな投資やリスクを迫られる場面では、店長と同様に上長がその責任を負う立場になりますので、状況を分析した上での判断は必須になります。
まとめ
~期待を掛ければ店長は育つ【飲食店の教育ノウハウ】~
今回は飲食店における店長教育に関するノウハウをご紹介しました。
飲食店の店長教育において、高い期待を持ち、褒めて育てることが大切です。
そして、店長が成長しないと悩まれる前に、ご自身の行動、言動、態度を客観的に見直す場を設けましょう。
さらに店長を教育する仕組みを構築し、会社や店舗のノウハウとして経験値の蓄積を図るべきです。
教育の仕組みを構築しても、すぐに店長教育の成果は得られないかもしれません。
しかしながら、一つずつ丁寧に店長教育を進めながら仕組みの構築に臨めば、いずれ会社の風土に合った効果的な教育システムを構築できるはずです。
ぜひ店長教育を仕組化し、人不足の時代に備えて頂ければ幸いです。
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