マツモトキヨシのベトナム進出とSNS個人売買の今後

マツモトキヨシがCovid-19を乗り越え、ホーチミンの第一区にあるビンコムショッピングセンターに1号店を開業しました。

このマツモトキヨシ1号店ですが、世界各国から化粧品や医薬品など6,000点以上を品揃えで臨み、開業初日にも関わらず数百人ものお客様の来店があり、大盛況だったとのこと。

マツモトキヨシHDについて

皆さんご存知のマツモトキヨシですが、2020年3月期で年商5905億円、営業利益375億円です。ドラッグストアチェーンを展開する大手企業です。

マツモトキヨシHDが公開した第13期報告書によれば、2023年度の経営目標で、売上高1兆2000億円、営業利益率6.5%とされています。

マツモトキヨシは独資でのベトナム進出か?

マツモトキヨシHDは、独資での進出ではなくベトナム現地法人と合弁会社を設立しています。

マツモトキヨシがパートナーに選んだ現地企業は、ロータスフードグループです。

ロータスフードグループは、レ・ヴァン・メイ氏が代表を務める年商7,000万USD、従業員2000名の企業です。

このメイ氏ですが、独立以前は日商岩井グループ(現在の双日株式会社)の子会社にてアシスタントディレクターをされており、日本の文化や考え方を学ばれたようです。日本語も堪能だとのこと。

1996年にロータスフードグループの前身となる企業を立ち上げ、20年以上の時を経て、食品加工業、貿易業、流通業などの専門企業へと成長させた手腕の持ち主。しかも株式市場への上場はせずにここまでの規模にされています。

実は、マツモトキヨシ以外にも、讃岐釜揚げうどん丸亀製麺(株式会社トリドールホールディングス)、CoCo壱番屋、森永乳業株式会社、大王製紙株式会社、クラシエ、ニッスイ、旭化成などとも代理店契約を結ばれています。

2019年10月16日に開催されたマツモトキヨシHDとロータスフードグループの調印式の様子はこちらです。



日本のマツモトキヨシHDとそのベトナムのパートナーであるロータスフードグループは、12月16日に合弁契約を締結し、来年3月からマツモトキヨシベトナム合弁会社を設立しました

出所:Vietnam Economic Times  Matsumoto Kiyoshi & Lotus Food to open pharma and cosmetics chain

マツモトキヨシの今後の展望

当初、2020年3月にマツモトキヨシ1号店の開業を予定されていたようですが、Covid-19の影響を受け、10月19日(日曜日)に開業を延期されました。

ところで、マツモトキヨシのベトナム現地法人のManaging Directorを務める宮岡弘樹氏が開業式典で、今後5年間のうちに、さらに10から15店舗をベトナム国内で開業する予定だと語っています。

ちなみに、ベトナム市場は同社のマツモトキヨシの海外開発事業において3か国目のマーケットです。
2020年6月現在で、海外の店舗数はタイに32店、台湾に12店を構えています。

マツモトキヨシの進出ですが、昨年から粛々と準備が進められていたのだと思いますが、担当された方や関係者の苦労が報われると良いですね。

ベトナムでは化粧品や医薬品の個人売買が厳罰化

マツモトキヨシの出店の要因がここにあるかはさておき、現在ベトナムではハンドキャリーなどで密輸入した化粧品や医薬品をSNSなどで売買するとかなり厳しい処罰を受けます。

政令98では、制裁のレベルが大幅に増加しました。例えば、密輸品の価値が300万から500万VND未満の場合、1〜200万VNDの罰金が課せられます。請求書や税関申告書を伴わない携帯品の取引の罰金は、1億VNDの価値があある場合、最大2億VNDの罰金が課せられます。

出所:PHAPLUAT Hàng xách tay Mỹ, Nhật… chính thức bị khai tử

以前は、Facebook、Zalo、Shoppy、Lazadaなど、オンラインにて販売する商習慣が認められていました。

そのため、日本のマツモトキヨシやアメリカでディスカウントされたサプリメント、化粧品、医薬品などを販売目的で大量に購入し、ハンドキャリーでベトナム国内へ不正に持ち込んでいました。

しかしながら、正規代理店などは、多額の広告費を掛けるため、同じ商品にも関わらず並行輸入品より売価が高くなり、以前から問題視されてきました。

さらに中国などから偽物や粗悪品が輸入され、健康被害を訴える購入者もいたようです。

そのため、今回の規制強化に至ったと考えます。そして、今後この規制はさらに厳しくなり公正な取り引きができる環境を政府が整えるとのことですので、マツモトキヨシなど、ドラッグストアの進出は増加しそうですね。

まとめ
~マツモトキヨシのベトナム進出とSNS個人売買の今後~

急速な経済発展と可処分所得の増加により、様々な分野でビジネスの広がりがあるベトナムマーケットは、海外マーケットの中でも特に魅力があると思います。

そこに目をつけ、実績のあるパートナーと繋がれるマツモトキヨシも、率直に凄いなぁと感じます。

その反面、脱税の温床になり易い個人業者などにはさらに規制が厳しくなり、グレーな形で商売をしていれば処罰の対象になりますのでご注意を。

もちろん公正な取り引きを望むマツモトキヨシやロータスフードなどの企業側にとれば朗報ですので、将来の少子高齢化と労働人口の減少に備えて今からベトナムへの進出を検討されても面白いです。

英国のミンテルの調査によれば、ベトナムの化粧品市場のマーケットサイズは2018年末時点で約23億USDの価値があるとのこと。
その中で日本製品はベトナム国内において需要が非常に高く、韓国、EUに次ぐ第3位で17%のシェアです。マツモトキヨシの進出でこの数値がさらに伸びるかもしれません。

それらの情報を踏まえ、マツモトキヨシの今後の事業展開が非常に気になるところですね。

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