飲食店の出店は思いのほか簡単で、居抜きであれば500万円、スケルトンの状態でも1000万円もあれば小規模の店舗を出店することが出来ます。
なお且つ、必要な資格は食品衛生責任者、防火管理者など、特別なものは一切なく、資金さえあれば誰でも開業出来ます。しかしながら、継続的に繁盛させていくことは非常に難しく、安易に飲食店を出店したがために多くのお金を無駄にされている経営者や投資家の方を目の当たりにします。
今回はそのような末路を辿らないでいただきたく、飲食店の繁盛に向け、必要な考え方をご紹介したいと思います。
繁盛する飲食店は必ず基本と時流を捉えている
繁盛している飲食店を客観的に分析をしていくと、2つの要素を具現化し、商売をしているところが8割以上です。8割以上と申し上げた理由は、小規模で完全に地域密着型の一見客が入りづらいお店を除いています。
この飲食店の繁盛における2つの要素が基本と時流です。
繁盛する飲食店における基本について解説
ここでの繁盛における基本とはどのようなことを指すのでしょうか。
基本とは原理原則のことであり、商売や経営を成功させ、繁盛させるための約束事やノウハウのことを言います。
飲食店の営業利益の平均は8%と言われています。
※もちろん繁盛店で、10%、20%以上の営業利益を上げている店舗もありますが、それはあくまでも一部の飲食店においてです。
単純に100円を売り上げて、営業利益として8円が手元に残る計算です。
そのため、飲食店経営の理解度が低い状態で出店した場合、トライアンドエラーを繰り返し、最終形態(繁盛店)までもっていくための経費を確保しておく必要があります。
しかも飲食店の営業利益率の平均が8%ということは、飲食店を繁盛させるノウハウが無い中で出店した場合、赤字に陥る確率は極めて高いのです。
要するに、お店が繁盛せず、赤字の場合、赤字補填用の資金と集客対策のための資金の両方を事前に確保しておかなければなりません。
飲食店を繁盛させるための基本:4つのポイント
飲食店を繁盛させるための基本とは、圧倒的なウリ商品の開発、マーケティング、マネジメント、オペレーションを連動させることです。
繁盛ポイント①:飲食店のウリ商品と主力カテゴリーの見直し
お客様があなたのお店に来店される際、何を求めて来店していますか。お店のウリ商品となるものはありますか。
48時間じっくり煮込んで12時間寝かせた牛スジの煮込み豆腐一丁使用
ターゲットとするお客様が求めるお店のコンセプトに合ったウリ商品の存在は非常に重要な役割を持ちます。
ウリ商品なんて必要ないのでは、と言われる方もいますが、飲食業のノウハウをしっかり理解した熟練者が出店するのであれば、必要ないかもしれません。
なぜならお店全体の雰囲気や商品の質を高める方法を経験上理解しているからです。
しかしながら、集客力の低さに悩み、今から売り上げを上げていく必要がある飲食店では、このウリ商品と主力カテゴリーの存在は絶対不可欠です。
繁盛ポイント②:飲食店におけるマーケティング
ウリ商品や主力カテゴリーをお客様が自動的に購入してくれる、もしくは自動的に来店してくれる仕組みを作ることです。
看板の見せ方、メニューの作り方、店頭のディスプレイなど、売り込むための仕掛けを考えます。
作り手主体であるプロダクトアウトから、お客様主体であるマーケットインに考え方がシフトしながらも、食べてもらいたいもの、売りたいものを注文するように全てを設計します。
集客力UPにおけるAIDMA(アイドマ)理論に関する記事はこちら
個人で居酒屋を経営されている方で集客力が上がらず悩まれている方へ向けた記事です。居酒屋の強みを活かした店作りを基本に集客力を高め、地域一番店を実現するための考え方やアイデアについて解説します…
繁盛ポイント③:飲食店のマネジメント管理
会社の経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報をマーケティング活動の実現に運用し、商売を繁盛に導くための考え方です。
管理監督のみではなく、いかに現場のモチベーションを上げ、チームを効率的に動かしていくかを考える必要があります。
まずはお店の中で、埋もれている隠れた優秀な人材を探します。その彼らが主体的に行動出来るよう権限を委譲しましょう。トップダウンが必要なタイミングはありますが、お客さまの嗜好の移り変わりが激しい現代において、プロモーションやマーケティングはある程度現場へやらせてみるのも一つの手です。
(※余談ですが、昨今、飲食業界ではヒトの採用が難しく、海外からの留学生を起用したり、時給を上げたりと採用難の状態が続いております。しかしながら、それとは逆に店舗主導でボトムアップの経営をされている飲食店では離職率が極めて低く、常に成長曲線上にある企業もあり、行きつくところはヒトを大事にしていれば、モノ・カネ・情報が自ずとくると言い換えることが出来ます。)
繁盛ポイント④:飲食店のオペレーション業務は最後に考える
上記3点を具現化するために現場を仕組み化していきます。
つまり売れる商品を作り、売る仕掛け・仕組みを構築し、その上で飲食店の現場のマネジメントとオペレーションを構築していくことが繁盛店における基本です。
言い換えれば、飲食店が繁盛する確率を上げていくことを目的とた流れです。
例えば、『現場がついてこれない』や『原価が合わない』からそのメニューは導入できないと考えるのではなく、まずはお客様に『これがほしい』、『これが食べたい』と感じてもらえるようなメニューを設計しましょう。その後、オペレーションを考えることです。
要するに、まずはお客様の満足度を高めることを念頭に商品やサービスを考え、その後に原価やオペレーションを整えていくのです。
お客様は常に商品の価値を値踏みしています。バリューの無いものを必死に売ろうとしても売れません。だからこそ、最初に価値あるメニューを開発し、その後、採算が合うように材料や調達先などを見直すことをお勧めします。
繁盛する飲食店における時流とは
次に飲食店の繁盛においての時流を解説します。
商売の繁盛が1から2年周期で終わってしまう流行と、10から20年続いて形成された新たな文化や業種業態であるトレンドのことを時流と言います。
例えば、飲食業界において数年前からブーム、流行になっているパンケーキ専門業態がこの流行にあたり、現在新たな日本の文化として根付いているパスタ業態のイタリアンがそのトレンドに当たります。
この基本と時流をしっかりと理解することが、商売を継続的に繁盛させるための第一歩なのです。
飲食店の時流の理解度を深め継続的に繁盛させるコツ
現在は、消費者がより専門性の高い飲食店を求めるように消費行動がシフトしています。
美味しいと評判の繁盛居酒屋でも全ての商品が美味しいわけではないという考え方にシフトしたことが要因の一つです。
例えば、単に海鮮と謳うのではなく、踊りいか専門、●●漁港直送、まぐろ酒場、など、より専門性の高さをアピールする繁盛業態が増えているのがその表れだと感じます。
流行には敏感になり過ぎずトレンドを追うようにすべき
チーズタッカルビが流行ればメニューに掲載し、パンケーキが流行れば専門店を作り、その時の流行にいち早く乗り、店舗数を増やしていく企業や個人がいます。
しかしながら、その流行は数か月から2年周期で落ち着くため、店舗数を増やした分だけ倒産や廃業のリスクは高まります。
前述したように、飲食業の利益率を考えれば、息の長い商売をすべきだと考えます。新大久保にある韓国料理屋さんでは、流行ろうがそうでなかろうが常にお客様で賑わっていますし、チーズタッカルビは普通に注文されています。
大切なことは、この流行に乗りながらもどのようにトレンドに変えるかを考え、店づくりをすべきなのです。
今の流行を長続きさせるために価格設定は慎重に
現在、デフレ状況下において、消費者の価格に対する見方は非常に厳しいものがあります。
理由は、スマートフォンの普及率に関係していますが、どこでも気軽に飲食店を検索することができるようになりました。
※スマートフォンの普及率は約70%で、10人に7人がスマートフォンを持っている計算です。
例えば、スマートフォンを片手にスーパーの生鮮食品売り場で、近隣の競合他店舗の価格と比較をしながら、より安いものを購入しようとする方々を見かけることがあります。時代環境の変化と共に、購買行動が大きく転換している例だと感じます。
ところで飲食店においてはどうでしょうか。
当時は駅に近く、看板が目立つ立地に店舗を設ければ飲食店が繁盛できる環境が存在しました。
乗降客数の多い新宿のようなエリアに同ブランドの飲食店を何店舗も出店しながら、全体で高収益を上げ、繁盛させるビジネスモデルが存在しました。
しかしながら、現在、その繁盛の法則が徐々に崩壊しつつあります。
なぜなら、お客様が本当の繁盛店を容易に検索できる環境があるからです。
だからこそ、目先の利益を取りにいくのではなく、3年目でも経営が成り立つような価格設定にすべきなのです。
まとめ~繁盛する飲食店は基本と時流を捉えている~
まず飲食店を開業やリニューアルをする前に、繁盛をさせるための考え方やコツを徹底的に学びましょう。
もちろん飲食店を継続的に繁盛させるためには、この基本と時流の理解度を高めることだけでは足りませんが、少なくとも役に立たせることは出来ますし、商売の成功率を高めていくことは可能です。
ここでご紹介した基本と時流を飲食店の出店時のコンセプト作り、業態開発、そしてお店の立て直しに役立てて頂ければ幸いです。
基本と時流のポイント
繁盛の基本
①ウリ商品や主力カテゴリーを持つこと
②マーケティングに精通すること
③マネジメントを理解すること
④オペレーションは最後に考える
繁盛の時流
流行とトレンドがある
流行を追いかけ過ぎない
トレンドにすることを前提にコンセプトを考える
流行に合わせた価格設定はしないこと
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