個人の飲食店開業を成功させるポイントを4点ご紹介していきます。
駅から離れた立地でも開業後すぐにお客様で溢れる店舗を作ることは可能です。
但し、しっかりとポイントを抑え、商圏内のお客様が求めるものを確実に提供していくことが重要です。
個人の飲食店開業は賃料の安い住宅街立地を狙う
主要ターミナルの隣接エリアは賃料が高く競合他社が多いため、個人の資金力で商売を挑むにはリスクが高いです。
そのため、比較的賃料の安く、競合他店舗が少ない住宅立地を特に個人の開業時は選択すべきです。
開業に関わる商圏分析に関するより具体的な記事はこちら
飲食店の新規開業では、その出店立地において競合他社との競争を優位に進めていくための戦略を取ることが成功への近道です。当たり前のように聞こえるかもしれませんがその作業を出店時に怠り…
飲食店の開業候補エリアの業態分布図を作成
飲食店の開業時は、競合店の出店状況の正確な把握のために出店候補エリアの地図を用い業態の分布図を作成します。
個人の場合、特に一店舗目の開業時は他社との競合は避けるべきです。
理由は個人での飲食店開業のため知名度が無く資金力に乏しいからです。
例えば、商圏内にカフェが既に4店舗あり、その内の2店舗に空席が目立つようであれば供給過多の可能性が高いです。
つまり飲食店の競合が多すぎるということです。
そのため、開業を目指すコンセプトの飲食店が比較的少ないエリアを個人オーナーは探すべきです。
商圏人口をアクセス手段ごとに分類
開業時は、アクセス手段を念頭に入れ業態の分布図を作成します。アクセス手段は、大きく分けて以下の3種類となります。
- ①店舗から800m圏内 徒歩
- ②店舗から2km圏内 自転車
- ③店舗から2km以上 自動車
出店を検討している飲食店のターゲットが①から③のどの手段で来店されるのかを予測します。
商圏人口の算出方法
飲食店の商圏人口を調査される場合、地図と各都道府県の市区町別・町丁字別人口データを用意します。こちらはe-Statなどの国勢調査データを活用します。こちらのデータを基本に地図と統計データを紐づけます。
具体的には以下の3点を実施します。
- ①対象エリアの地図をエクセルなどに貼付け
- ②半径800m、2km、5kmの円を書き込む
- ③人間の心理的な情報を重ねる
①対象エリアの地図をエクセルなどに貼付ける
飲食店の開業立地を中心とした大きな地図データを作成します。市町村が細かく記載されているデータを探します。
スクリーンショットをした地図データを張り合わせていきます。
②半径800m、2km、5kmの円を書き込む
飲食店のターゲットエリアの地図が全て出来た段階で、その商圏マップに境界線を入れていきます。
商圏の境界を入れる際にガイドラインとなるよう、まずはその地図に商圏サークルを半径800m、2㎞、5㎞にて記載します。
③人間の心理的な情報を重ねる
最後に飲食店の開業立地に辿り着くまでの心理的な障壁となる事柄を地図データへ記載します。そうすると直線や円ではない変わった形になるはずです。
- 飲食店の近くに片側2車線道路を挟んだ立地で横断歩道を渡る必要がある
- 飲食店のそばに一級河川があり大きな橋を渡る必要がある
- 飲食店は開かずの踏切の向こう側にある
最後に町丁字別の人口を地図に入力していきます。これを集計すれば、その出店立地の商圏人口の算出が完成します。
個人の飲食店開業の差別化ポイントは【商品力】と【接客力】
飲食店の商品力と接客力を高めるために、原材料費と人件費によりコストを掛けられるよう仕組化します。
基本的にはFLRで70%以下を目指します。
F(Food Cost) ⇒ 原材料費
L(Labor Cost) ⇒ 人件費
R(Rent) ⇒ 賃料
固定費である賃料が低ければ、飲食店の商品力と接客力にコストを掛けられることが分かると思います。
まずは飲食店用の物件選定前に事業計画を作り、賃料の上限を決めておきましょう。
個人の飲食店開業は仕入れを工夫し原材料費を抑える
個人の飲食店の場合、購買力が無い変わりに小回りが利きます。
町の八百屋さんや小売店などで比較的安価な食材を仕入れることが可能です。
但し、飲食店の主力商品で使用される肉や魚などは、鮮度の高いものを専門の業者さんから仕入れることをお勧めします。
理由は、飲食店のメニューやPOPで個人店なりのこだわりを表現するためです。
特に食材が立っていれば、産地や肥育のこだわりなどを細かく表現できます。それが他店舗との差別化ポイントになるからです。
個人店は高原価率で商品力の高いメニューを作る
まず前提として、飲食店の全商品を一律の原価率に設定していくのは止めましょう。
原価率の高いものと低いものを同時に注文させ、全体の原価率を35%以内に収めるよう設計していくことが大切です。
メニューの注文例
- 商品A:売価500円(原価率15%)x 5(NOTお得)
- 商品B:売価500円(原価率30%)x 5(ややお得)
- 商品C:売価500円(原価率50%)x 5(凄くお得)
上記のように商品が注文されたとします。
原価率50%の商品が出過ぎたら利益が出ないと考えるかもしれません。
しかしながら、そこはメニューの配置や店内のPOPを活用し注文が分散するように仕掛けます。
そうすると下記のように原価率が31.7%で収まるのです。
= 原価率 31.7%
売価合計 7,500円(原材料費 2,375円)
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お客様に得したと感じてもらえる商品Cのようなメニューの開発が必須です。
原価率が50%以上の商品や手間暇かけた商品で圧倒的なお得感を与え、お客様の記憶に残る店舗になるよう仕向けます。
ただそれだけでは店舗の利益が出にくいため、10%台のドリンクやトッピングなどで儲ける仕組みを構築します。
個人店開業で接客力を高める8つのポイント
個人の開業はオーナーの熱意や想いをダイレクトに伝えることが出来るためチェーン店には無い地域に根付いた接客サービスを構築できます。
その中で、留意すべき点以下の8つです。
- ①感じの良い挨拶
- ②常に笑顔でサービス
- ③聞き取りやすいスピードでハッキリと発声
- ④お客様の質問に即答できる商品知識
- ⑤付かず離れずで一定の距離感を保つ
- ⑥決して押し付けない
- ⑦丁寧な動作で作業を心掛ける
- ⑧お客様と従業員同士のアイコンタクト
接客力向上のポイントをより詳しく解説
実は商品力のみで集客出来ている飲食店が非常に多くあり、この接客力を磨けばさらに集客力を上げられる店舗が多くあります。競合店の一歩先をいく接客力のポイントを分かり易く解説してきます。
個人店開業は店頭看板と照明以外のコストは極力抑えること
個人店の開業時は、必要以上の設備投資は避けましょう。言い換えると店頭の看板と照明以外に掛ける費用は極力抑えていくことをお勧めします。
つまりお客様が入りたくなる店頭を演出し、集客力を高める部分にコストを掛けるイメージです。
個人の飲食店が開業する場合、設備投資に対しての回収は3年以内が理想です。長ければ長いほど、店舗を取り巻く周辺環境の変化の可能性が高くなるからです。
例えば、将来的に競合店の進出や災害による売上の大幅な減少の可能性は十分に考えられます。そのタイミングで健全な商売をしており、尚且つ余剰資金があれば金融機関からの追加融資も受けやすくなります。
つまり、過度な投資はせず、必要最低限のコストで売上と利益を最大化できる店舗づくりを前提に内外装工事を検討していくべきだということです。
個人の開業は売上150万円で利益体質に
個人店の場合、10坪で売上150万円(税抜)で利益を出せる店作りをお勧めします。最低でも15席から20席は確保できる店舗を作ります。併せてテイクアウトやデリバリーのニーズも探りましょう。
店舗型の飲食店の場合、下記の通りに売上は構成されます。
20席用意しても、全ての席は使用できません。理由は、2名席に1名の場合もあれば、4名席に2名の場合もあります。恐らく70から80%ほどが平均稼働率になると思いますのでご注意ください。
月商150万円の場合
- 原材料費 35% ⇒ 52.5万円
- 人件費 25% ⇒ 37.5万円
- 賃料 10% ⇒ 15万円
- その他 8.3% ⇒ 12.5万円
- 営業利益 21.6% ⇒ 32.5万円
個人が開業する場合、利益体質のポイントは賃料を予算内に抑えること。どんなに良い物件でも売上が見込めないのであれば、金額交渉もしくは別の物件を探しましょう。
まとめ~個人の飲食店開業を成功させるポイント4点~
個人が開業を目指す上で留意すべきポイントを4点ご紹介しました。
飲食店の開業後に後悔をしないよう、特に物件選定は慎重に実施すべきです。
そして、地域一番になれる業態コンセプトを模索しながら、【商品力】と【接客力】が圧倒的に高い店づくりを実現し、最低ラインの売上でも利益が出せる飲食店を構築していくことが個人の開業には求められます。
個人が開業の成功率を高めるために、事前の調査などは決して怠らず、これでもかというところまでやり切り決断をしたいところです。
焦らずじっくりと計画的に行動&決断し、ぜひ新規開業を成功へと導いてくださればと思います。
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