売上不振に悩むオーナーさんからの質問です。
売上が上がらずに悩んでいます。店舗の業態変更か、廃業しようか悩んでいますが、立て直しは出来ますか?
小さな店舗を再建できるのか
もちろん、小さな店舗を再建し、地域一番に出来ます。
理由は、料理屋や小売業などは、大手チェーンでも個人の店舗でも、会社の規模に関係なく、1対1の競争になるからです。
つまり、規模の大小に関わらず、地域で必要とされる店舗であれば生き残ることができるのです。
例えば、大手チェーンが開業してくるからと焦り、同じ土俵に立ち、価格や品揃えで彼らに戦いを挑んでも勝ち目はありません。
価格であれば、彼らの仕入れは年間契約が基本のため、常に安定しています。
商品の品揃えであれば、様々なメーカーさんから質の高い冷凍食品や加工食品などを提案されるため情報の鮮度では相手が有利なはずです。
そのため、長期戦になり消耗戦が続けば、資金力のある大手チェーンに軍配が上がります。
だからこそ、地域一番になるための戦略で、全く別の土俵で戦える環境を作るべきなのです。
料理屋や小売店の再建ではランチェスターの法則を活用
店舗の再建には、ランチェスターの法則を用います。
独自の強みを生かせる戦いの場を用意し生存率を高めます。
ちなみに、このランチェスターの法則を活用した店舗の再建の考え方は、日本国内に限った話ではありません。
海外への進出にも、このランチェスターの法則をベースにした戦略策定が有効です。
マーケティング弱者戦略
マーケティング戦略においては、一つの特殊な分野に特化することで、そこまで手を回す余裕のない大企業の隙(ニッチ市場)を突いてのし上がれる。一般化して述べれば、弱者のとるべき戦略は差別化戦略で、敵より性能のよい武器を持ち、狭い戦場で、一対一で戦い、接近戦を行い、力を一点に集中させることである。
出所:Wikipedia ランチェスターの法則
ベトナム進出時に地域一番になるために実施したこと
ベトナムにて店舗を開業した際に実施したことを例に挙げたいと思います。
実は、ベトナムでは、地場の外食チェーンが非常に強いです。
こちらはGolden Gateグループ傘下のKICHI KICHIです。
そのため、ショッピングセンターに開業された日本の大手チェーンなどは、苦戦を強いられる店舗が多い印象を受けます。
弊社も2019年7月にベトナムのハノイで店舗を開業しましたが、その際に活用したのがこのランチェスターの法則です。
まず、エリアの選定時、徹底的に商圏を分析しました。
その際に、ランチェスターの法則と共に用いたのが6W2Hです。
店舗の地域一番を目指す6W2Hとは
When | いつ | 2019年7月 |
Where | どこで | ハノイ |
Who | だれが | 何屋さん(業態コンセプト) |
Whom | だれに | ターゲット |
What | なにを | 商品・メニュー |
Why | なぜ | 来店動機の創出 |
How | どのように | PRや商品戦略 |
How much | いくらで | 価格 |
弊社の場合、現地に信頼のおけるパートナーがいることもあり、多少有利に開業を進めることは出来ました。
但し、この点で言えば、大手チェーンも現地パートナーや従業員を採用しているため同じ状況のはずです。
それでも彼らが苦戦をしている理由は、競合他社と同じ土俵で戦うことを選択しているからだと考えます。
つまり、他国に進出しているにも関わらず、自国と同様にマーケティング強者戦略で戦いに臨み、競合他社との消耗戦になっているからです。
ベトナム現地に関しての記事はこちら
ベトナム現地のリアルな情報や事業の現状などをゆるーく配信していきます。『ベトナムへ進出を考えているけど現地のことが分からない』、『観光スポットは?』などをブログにて共有します。
我々の場合、ベトナムマーケットでは圧倒的弱者のため、マーケティング弱者戦略にて開業に臨みました。
6W2Hの内訳がこちら。
When:いつ
物件次第で開業する予定だったため、元々は、未確定。
Where:どこで
ハノイでの開業は決定事項。理由は、ホーチミンよりも商売が難しいため、ここで飲食事業を成功できれば、他の省でも商売を成立させることが可能と判断。
Who:だれが
だれが、だれにモノを売るのかを考える。業態コンセプトの立案。
Whom:だれに
業態コンセプトに合う、ターゲットを選定。20代前半の新卒社員をメインターゲットに置く。
What:何を
メニューや商品もターゲットが食べたいと考えるものが何かを徹底的にリサーチし、メニューの品揃えやウリ商品を企画。
Why:なぜ
『メインターゲットがなぜうちを選ぶのか?』という理由や来店動機となる要素をリスト化し、店舗の強みとして打ち出す。
How:どのように
店舗の強みや来店動機を深堀りし、広告や販売促進に活用。『店舗はどのような使われ方をされるのか?』、『店舗をどのようにPRしていくべきか?』などなど。
How much:いくら
ベンチマークとなる競合他社の価格を調査した上で設定。1.3倍と1.7倍の法則を活用。
一時は、Covid-19の影響でロックダウンとなり、3月後半から4月後半にかけては、全く売上が立たず、かなり厳しい環境下におかれました。
しかしながら、5月から少しずつ売上が持ち直し、売上前年比で見ると、9月は102%、10月現在は110%以上で推移しています。
近隣にも店舗は開業していますが、撤退や業態変更を繰り返す状況が続いているところを省みますと、このランチェスターの法則による戦略策定は正しかったと言えます。
店舗の再建で最も着目すべき点は
店舗再建の際に、着目すべき点は、以下の4点です。
店舗再建①:商圏分析を実施し競合店を調査
店舗再建②:Whom(誰に)来てもらうのか、ターゲットを選定
店舗再建③:何を(What)売るのか、ウリ商品を決定
店舗再建④:いくらで(How mcuh)売れば地域一番か
店舗再建①:商圏分析を実施し競合店を調査
商圏とは
(1)店舗から800m圏内 徒歩
(2)店舗から2km圏内 自転車
(3)店舗から2km以上 自動車
どのエリアからお客様が集まるのかを考え、商圏を分析しましょう。
郊外のロードサイドであれば、2km以上にある店舗は競合になります。
ただ全ての店舗が競合にはなりません。
ここで大切なことは、客層が近く、同じくらいの客単価の店舗を選定していくことです。
それ以外にも、店舗や業態によって、利用動機が異なります。
法事での利用が多い店舗か
友人との会食に使われる店舗か
カップルの利用が多い店舗か
家族との日常的な利用が多い店舗か
誕生日などの特別なイベントで使われる店舗か
その店舗へ訪れる理由を考え、利用動機毎に分類していきます。
主に、客単価、客層、利用動機を中心に、競合となる店舗を絞り込んでいきます。
店舗再建②:Whom(誰に)来てもらうのか、ターゲットを選定
次に、店舗へ訪問してもらいたいお客様(ターゲット)を誰にすべきかを考えます。
①の商圏分析で、ベンチマークとなる店舗の選定していきます。
この際に、来店されている客層が詳しく見えてくるはずです。
男性なのか、女性なのか、カップルなのか、家族連れなのかなど、より細かく分析をしていきましょう。
その客層が店舗再建の際のメインターゲットになります。
なぜターゲットを絞る必要があるのか?と思われるかもしれません。
しかしながら、モノが溢れる今の時代に万人に受ける商品は存在しません。
万人受けを狙うと、誰の目にも止まらなくなります。
そのため、ターゲットを絞り、一つの客層で行列のできる店舗を作るのです。
人間は行列に弱いです。
行列あると興味が沸きます。
行列を目掛けて別の客層も来店してくれるようになります。
だからこそ、店舗の再建にはターゲットの選定が必要なのです。
店舗再建③:何を(What)売るのか、ウリ商品を決定
商圏分析をしていくと競合他社の強みやウリ商品が見えてくるはずです。
商圏分析で得た、調査内容をもとに、店舗では何をウリ商品にすべきかを考えます。ウリ商品に関しての考え方は以下の通りです。
顧客が集まるウリ商品を作る方程式
顧客が集まるウリ商品 =
既存商品 x 新たな性質(盛り付け/量/味付け+価格帯/名称/見せ方)
例えば、店舗のエントランスに大きな生け簀のある海鮮料理が有名な店舗に、同じカテゴリーの業態で勝負を挑んでも、良くてお客さんの取り合いになる、悪くて全く集客できずに撤退となるはずです。
その場合は、土鍋で炊いた炊き立てのご飯が食べられる和牛専門の焼肉屋など、全く異なるジャンルの業態をぶつけていけば、他エリアからも集客ができるようになり、お互いにとってウィンウィンの状態になります。
店舗再建④:いくらで(How mcuh)売れば地域一番か
これもランチェスターの法則が役に立ちます。
ボリュームまたは価格で、競合店舗よりも1.3倍または1.7倍の価値を創出できれば勝利できます。
基準価格を1000円とした場合
1000円 ÷ 1.3倍 = 770円 なんとなく安いかなぁと気づく
1000円 ÷ 1.7倍 = 590円 安い!と必ず気づく
基準グラムを500gとした場合
500g x 1.3倍 = 650g なんとなく多いなぁと気づく
500g x 1.7倍 = 850g デカっ!と必ず驚く
この考え方を組み合わせ、目玉商品(原価率高め)と冷やし玉商品(利益商品)を組み合わせて価格設定をします。
全てが目玉商品では利益が出来ないため、利益商品と組み合わせてメニューを構成します。
まとめ
~店舗の開業や再建で役立つ考え方【ランチェスターの法則を活用】~
まだまだコロナウイルスの影響を受け、厳しい環境下に置かれている店舗が多くあります。
GoToイベントで少しだけ売上が回復している店舗もあるようですが、自粛の反動で売上が反発している状態のため、これが落ち着けば、また元の状態に戻ることは想定しておくべきかと思います。
既にマーケットが縮小してしまった今、実店舗として生き残るためには地域一番になる以外に道はないと考えています。
そのために、地域一番となり、地域に無くてはならない店舗になることが、店舗再建の近道ですので、ぜひこちらの考え方をご活用くださればと思います。
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