飲食店を運営する企業に勤めていた当時の私は、飲食店コンサルタントの起用を考えたことは一切ありませんでした。
理由は、会社で採用していた飲食店コンサルタント会社の面々が胡散臭い方ばかりだったから(笑)
そして、抽象的な表現の提案をされるコンサルタントの方が多く、具体的なものが少なかったから、そう感じていたのかもしれません。
問いに対してのコンサルタントの方の回答も飲食店について少し勉強をしている人間からすれば、『で、どうすれば良いですか?』と尋ねたくものばかり。
しかしながら、ある飲食店専門のコンサルタントの方と出会い、その考え方が誤っていたことに気づかされました。
そして、飲食店に特化したコンサルタント活動を始めようと決断したきっかけもその方との出会いがあったから。
約2年間、ほぼ無給に近い状態でその方から学んだことは、飲食店に勤務していた際に学んだこととは全くの別物であり、不振店を確実に業績改善へと導くための活きたコンサルタントのノウハウでした。
もちろん無給のため、かなり生活は苦しい状態ではありましたが…(汗)
今回は、飲食店コンサルタント起用のタイミングやその判断基準など、その理由と共に解説していきます。
そもそも飲食店コンサルタントは必要か
正直申し上げて、売上・利益ともに十分確保出来ており、次の出店を考えていない方であれば、飲食店コンサルタントの起用の必要はありません。逆に無駄なコストになります。
但し、以下の2点に当てはまる飲食店経営者の方にはコンサルタントの導入をオススメします。
コンサルタント起用の判断基準2点について
- 売上不振に悩んでいる
- 店舗展開を目指したい
コンサルタント起用①:売上不振に悩んでいる
これまで飲食店専門のコンサルタントを採用せず、色々と試行錯誤を繰り返しながら、新メニューを投入したり、有料広告を利用したりと、ご自身で自助努力を重ねながら経営改善をして来られたはずです。
しかしながら、ご自身で出来ることは全てやり尽くし、それでも解決の糸口が見えない状態にある経営者の方は飲食店コンサルタントの起用を検討してみてください。
こちらでは、よくある不振店のケース、原因分析、そして解決策を3つのパターンにてご紹介していきます。
現状:パターンA
開業当時は、飲食店に集客力もあり、十分な売上・利益を確保できていた。
ただ年を追うごとに飲食店の集客力が低下。但し、ギリギリ赤字ではないため常連さんを贔屓にしながらお客さま第一で経営を継続中。
しかしながら、ある時通帳の残高が減り始めていることに気づき、これは『まずい!』と新たなメニューや流行ものを追いかけ商品化。それで急場は凌げたが、それも反応が弱まり八方塞がりの状態で悩んでいる。
現状:パターンB
飲食店を開業したばかりで集客力が弱いのは仕方が無いと考え、接客力を高め、常にお客様満足度の高いサービスを提供中。
但し、同時に有料広告を活用しているため、たまに新規のお客様の来店はあるが広告費がドンドン増加。
さらに飲食店に全くリピーターが増えずどうすれば良いのか悩んでいる。
現状:パターンC
近隣に競合店の出店が相次ぎ自店舗の集客力が一気に低下。
競合店を意識し、飲食店の商品のラインナップや価格を見直したが、客単価の低下とさらなる客数の減少を招き、どうすべきなのか分からなくなっている。
AからCのパターンを招いた原因を解説
原因:パターンA
パターンAの場合、恐らく考えられることは、経年による業態の陳腐化や周辺環境の変化が主な原因です。
昔から変わらない地元の方に愛される飲食店も、年を追うごとに少しずつ進化をさせなければなりません。
理由は、3月から4月の人事異動の時期などで、常連客が入れ替わる可能性があるから。その際に、居住者の年齢層に変化があれば、ターゲットとしていた客層と提供していた商品やサービスにズレが生じます。
そこを踏まえずに同じ飲食店で商売を続けていると徐々に集客力は低下します。
原因:パターンB
出店立地とコンセプトにミスマッチが起きている可能性が高いです。
この場合、いくらサービス力を向上させても、商圏内にターゲットがいないため集客力の向上は見込めません。
原因:パターンC
競合他社との競争下におかれ、コンセプトが同質化しています。
さらに購買力のあるチェーン店へ価格競争で挑んだため、経営はさらに悪化の一途をたどり回復は難しくなります。
コンサルタントの視点でAからCを解決する場合
コンサルタント解決策:パターンAの場合
まずはじめに飲食店コンサルタント側では商圏分析をし、ターゲットの見直しを図ります。
ターゲットとなる客層は『誰にすべきなのか』、『どこから来るのか』を把握します。こちらはe-Stat等で、国勢調査データをもとに調べることが出来ます。
お客様の来店手段に応じた商圏範囲
- ターゲット①:飲食店から800m圏内 徒歩
- ターゲット②:飲食店から2km圏内 自転車
- ターゲット③:飲食店から2km以上 自動車
その上で、ターゲットに合わせた飲食店づくりを目指すことをオススメします。
コンサルタント解決策:パターンBの場合
こちらでは、コンセプトの見直しが必要です。
パターンAと同様に誰(ターゲット)に対して商売をすべきなのかを考えます。
若年層が多い立地で、年配者向けの商売をしても集客力は高まりません。
ミスマッチが起きている原因を分析しコンセプトを見直すことをオススメします。
コンサルタント解決策:パターンCの場合
コンサルタント視点で見た場合、ここでは差別化戦略を用います。
ランチェスターの法則でオンリーワン(地域一番)になるための施策を検討します。
競合他社の出店に焦りを感じるのは当然ですが、同じことをしても資金力や人材力のあるところには敵いません。
そのためコンサルタントでは、競合他社とは違う視点に立ち、商品、サービス、コンセプトなどを見直し、差別化出来るものを探すことから始めます。
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飲食店コンサルタント導入のポイント
売上不振の原因は、もちろん上記の3パターン以外にもあります。
それらを客観的に分析し、解決に向けた具体的な提案をくれるのが飲食店コンサルタントの役目です。
飲食店コンサルタントは、お店のどの部分に問題があり、どのように解決すべきかを分かり易く教えてくれます。
そして、コンサルタント業務を通じて、コンセプトの立案や商品企画などを実施し店舗の業績回復を実現します。
コンサルタント起用②:店舗展開を目指したい
次に現状の業態コンセプトをチェーン店化していきたいと考えている飲食店経営者の方へもコンサルタントの導入をオススメします。
理由は、1店舗目での成功体験をそのまま持ち込み、2店舗目の開業で失敗されるケースが多いためです。
1店舗であれば、オーナーご自身のマンパワーでトラブルを回避し、苦難を乗り切ることは可能です。
しかしながら、2店舗になると、どちらか一店舗で問題が発生してもマンパワーでは解決できません。
時には大きな事件や事故に繋がり、閉店へと追い込まれる可能性も十分に考えられます。
それらを未然に防ぎ、健全な店舗運営をしていくためにはいくつかの事前準備が必要になります。
特に重要な準備項目は以下の2点です。
準備①:マネジメントと教育ツールの作成
本来、チェーン店化を目指す場合、マニュアルやハウスルールの整備が必要になります。
特にマネジメントと教育や関わる部分のマニュアル化・仕組み化は必須です。
飲食店の開業前に、これらを準備せず、売上だけを取れば良いという考えのもと新店を出店した場合、運よくある程度の売上が確保出来たとしても、数か月も経過すれば以下のような問題が浮上してきます。
教育不足によるサービス力の低下
金銭管理不足による不正の発覚
レシピ不足による商品力の低下
そこで飲食店のチェーン店化に最低限必要なマニュアル、レシピ、ハウスルールなどを作成し、店舗力の維持向上が可能な体制を整えておく必要があるのです。
もちろん飲食店コンサルタントはマニュアル整備に必要な知識を持ち合わせています。
準備②:トラブルシューティングを作成
そして、2店舗になったということは、トラブルの発生率も2倍に上がるということです。
そして、このトラブルは、主にピークタイムに発生します。
仮に飲食店経営のトラブルシューティングなどを事前に用意せず店舗で問題を解決できなければ多忙を極めるピークタイムに連絡を受けることになります。
もちろん対応出来ない可能性が高いはずです。
仮に、小さな問題であれば良いかもしれません。
しかしながら、POSが使えない、ガスが付かない、電気が使えないなどの問題を店長自ら解決できない場合、飲食店の営業をストップしなければならないため、大きな機会損失を招きます。
そして、行く行くは退店せざるを得ない状況に陥るかもしれません。
飲食店コンサルタントは、営業時に発生し得るこれらの問題をリスト化し、改善マニュアル作成のサポートをしています。
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まとめ
~飲食店コンサルタント起用の判断基準について解説~
飲食店におけるコンサルタント起用の判断基準について解説をしましたが如何でしたでしょうか。
もちろん飲食店コンサルタントの起用にはコストが掛かります。
さらに飲食店コンサルタントが実際に業績改善やチェーン店化をサポートしてくれるのかは起用しなければ分かりません。
そして、その飲食店コンサルタントの人柄や相性が合うのかなども起用を成功させる要因だと考えます。
恐らく多くの飲食店コンサルタントは、初回無料の経営相談をサービスとして提供しているはずです。
その際、コンサルタント会社の担当者と面談をし、人柄の良さや過去の実績などを具体的に確認してみるべきかと思います。
そして、出来る限り多くの飲食店コンサルタントとお会いになり選定の有無を判断されることをオススメしています。
今まで飲食店経営で学ばれた経験値を補う専門知識を持ち合わせる飲食店コンサルタントを採用し、さらなる成長を実現してくだされば幸いです。
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