飲食店の立地開発を成功させ繁盛店を作る

飲食店を出店していく上で、最も大切な業務の一つに立地開発業務があります。

飲食店の経営において、なぜ立地開発が大切なのでしょうか。

その理由は、飲食店の開業当初から集客力を最大化し、十分な売上と利益を確保するためです。
要するに、お店の存在に気づいてもらいご来店頂く必要があるからです。

例えば、通行量のある国道に出店をしたのに、空席が目立つ飲食店を見たことがありませんか。

この飲食店のケースは、立地と業態コンセプトにミスマッチが発生している可能性があります。

もしくは立地の選定自体を誤ったため、飲食店の集客力を最大化出来ていない可能性があります。

今回は、飲食店における立地開発の理解度を深め、出店時のエラーを最小限に抑えるために注意すべき点や見るべきポイントをご紹介していきたいと思います。

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飲食店の立地開発の重要性

例えば、下記のような2種類の立地があるとします。郊外の国道を車で移動している状態をイメージしてください。

黄色で記した箇所は人間の視野を表しています。速度40㎞/hで運転をする場合、平均の視野は100度です。ちなみに速度130㎞/hの場合の平均視野は30度しかありません。

そちらを踏まえた上で、AとBではどちらの立地を選定すべきでしょうか。

ロードサイドの場合:A立地

ロードサイドの場合:B立地

答えはB立地です。障害物が何もない状態でもBを選定すべきです。

基本的に運転中はドライバーが目を動かさずに見える範囲は、注視点から視角5度の範囲と言われています。

A立地の場合、飲食店を見るためには左方向に視線を動かす必要があります。そのため運転中のドライバーに気づかれにくいのです。

逆にB立地の場合は、飲食店が正面に見えてくるため視線を動かす必要がありません。

そのため、B立地を選定すべきだと申し上げました。

自動車を運転しているときに得られる情報の約90%が視覚情報であるといわれています。運転中のドライバーが目を動かさずに見える範囲(視野)は、注視点から視角5度の範囲であり、視力が鋭い「中心視」領域と、その周辺でぼんやり見ることができる「周辺視」領域から構成されています。…

出所:一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF) 速度と視野の関係を教えてください。より

こちらのケースでもお分かり頂けたと思いますが、立地選定はエリアの選定のみならず、同じ通でもどこに飲食店を構えるべきなのかまで考える必要があるのです。

立地開発に成功すればどうなるか

立地開発が上手くいけば、飲食店の店長のマネジメント能力が多少低くても、ある程度の集客力を確保できるようになります。集客力を確保できれば、売上利益が安定するので会社のさらなる発展を目指すことが可能となります。

逆に立地開発に失敗した場合はどうなるでしょうか。

飲食店経営において、サービスや料理の質を高め、商品のクオリティーを向上させることは大切です。
しかしながら、集客の難しい立地に飲食店を開業すれば次第にそれらの業務に価値を見出せなくなり従業員のモチベーションは低下します。

そして、外から飲食店へお客様を呼び込むためにSNSや有料広告などの販売媒体を使い、集客に多額のコストを掛けるしかなくなります。

仮に本部のサポートなく、飲食店単体でSNSの記事を書いたり、広告業者との打合せに注力するようになれば、お店の営業に注力できずQSCAは低下していきます。

そのため、せっかくご来店いただいたお客様も満足できないため再訪は無くなります。その機会損失の連続が解消されなければ、広告宣伝に頼るしかなくなり、コスト増が止まらなくなるのです。だからこそ正しい立地選定は飲食店経営に不可欠なのです。

飲食店立地の特性を解説

飲食店の出店立地の特性についてはいくつかの考え方があります。

今回は、その内の4種類の立地特性について解説をしていきます。

特性1:大規模商業立地

新宿や渋谷など駅ビルがあるような商圏人口が50万人以上の立地のことをいいます。「飲食店の新規出店を優位に進めていくために」でもお伝えしておりますが、クリスタラーの中心地理論で言うところの駅ビルや超大型ショッピングセンターなどが存在する地域のことを大型商業立地と言います。

さらに大型商業立地の場合、さらに2つの立地に分類されます。

まず一つ目がA級立地です。

そして2つ目がB級立地です。

これは店前通行量が多いか少ないかで判断されますが、商圏は同じでも立地が違うため戦略は全く異なります。詳細については下記に記載いたしますのでご覧ください。

A級立地

まずこのA級立地は当然のことながら賃料が高いため、変動費である人件費と材料費を落としていく戦略を取ることになりますが、材料費を下げれば飲食店の競争力が圧倒的に下がるため、そこに手を付けることは止めた方が良いでしょう。
ポイントとなるのは人件費を抑え、出来るだけ営業時間を長く確保出来るような業態での出店が望ましいでしょう。
例えば、装置産業であるカラオケ業態、もしくはケ(日常食)である牛丼やカレー専門店のようなオペレーションが簡素化できる単一品目、尚且つ従業員教育が簡略化されているコンセプトで営業時間が長く商売できる業態です。

B級立地

B級立地の強みはA級立地と同様に商圏人口は50万人以上ということと、家賃がA級立地の半額程度となるため固定費が抑えられます。

A級立地までは徒歩2から5分圏内にあるため、飲食店を知ってもらう戦略が取れれば、実はA級立地よりも収益性の高い商売が出来るメリットがあります。

但し、このB級立地ではお客様を飲食店へ誘導するために以下のような仕掛けが必要です。

仕掛け①: 圧倒的に価値のある名物商品の存在

特に商品の高さ(立体感)を表現することがポイントとなります。ラーメンで言えば二郎系のような見せ方のことを言います。

仕掛け②: マスコミからの取材

積極的にリリースを出し、雑誌や無料広告への掲載を促します。

仕掛け③: 店の近くに有名なランドマーク(目印)があること

「〇〇カメラの横の細い路地を入って3件目の左側に飲食店があります!」

この3つの要素は必須ですので、これが無いようであれば出店は見送るべきだと考えてください。

特性2:小規模商業立地

こちらは商圏人口が18万人以下の立地です。

駅前に商店街のある立地と言えば分かり易いかと思います。例えばアトレなどの小型の商業ビルなどが繁盛している立地もその一つです。

この立地は大規模商業立地と比較をすると広域からの集客は難しくなるため、その地域にあったコンセプトの飲食店を出店することが必須となります。

要するに「作りたいもの」、「作れるもの」ではなく、「お客様が何を必要としている立地なのか」を探ることから始めます。

クリスタラーの中心地理論でもあるように商圏人口7万人以上の立地であればメニューを絞った飲食店は成立します。

しかしながら、商圏人人口7万人未満の商店街の場合は、来店頻度を高めるためにメニューの幅を広げることが必要になります。

もちろん、ターゲットもエリアによって大きく変わってくるため、それぞれの立地をしっかりと分析した上での出店は欠かせません。

逆に言えば、自社のブランドがどの立地特性にあった飲食店なのかを理解していれば、立地や物件選定は簡略化されますので、そこから始めてみるのも良いかもしれません。

立地の商圏人口ごとに成立する業種業態

商圏人口 一般的な業種業態
1万人 コンビニエンスストア
3万人 食品スーパー
小型ショッピングセンター
7万人 ファーストフード
ファミリーレストラン
中型ショッピングセンター
18万人 大型ショッピングセンター
50万人 駅ビル
超大型ショッピングセンター

特性3:商業施設内立地

まず商業施設内立地とはその名の通り、ショッピングセンターや商業ビルを主体とする複合施設内の立地のことを指します。

商業施設内立地の場合、駅ビルなど主要ターミナルに隣接している立地のケースを除き、土日、祝日の集客がメインとなり、この曜日での繁盛がイコール飲食店の繁盛に繋がります。

当然のことながら、商業施設立地の場合、施設の集客力がそのまま飲食店の集客力となるため、施設選びにも十分な注意が必要です。それと、デベロッパーによっては、飲食店のリーシングが終了すれば、それ以外は何もしてくれない施設もあります。

出店を考えている施設の館内の広告や掲示板などを定期的に確認し、状況を把握しましょう。

商業施設の立地選定の9つのポイント

  • 一年を通じて飲食店が繁盛する販売促進を考えているのか
  • 飲食テナントにとって効果的だと思われる繁盛イベントを開催しているのか
  • 施設自体の効果的なPRが出来ているのか
  • 飲食テナントを巻き込んだイベントが定期的に開催されフロアに活気はあるか
  • 特に週末に施設を巡回している担当者を目にするか
  • スタッフの時給はいくらか、採用に苦戦してはいないか
  • 今後のイベントの開催状況などが施設の各所で告知されているか
  • テナントの立地を示す看板が館内の導線上に設置されているのか
  • 施設の立地を示す看板が道路に設置されているのか

まだまだ飲食店の出店のために網羅すべきポイントはありますが、大まかにはこのような内容が繁盛している商業施設を確認するためのポイントと言えます。

商業施設内の好立地を見極める5つのポイント

  • エスカレーターの位置
  • エレベーターの位置
  • 階段の位置
  • 駐車場の入り口やテナント構成
  • アンカー・ストアの位置

特にアンカー・ストア(施設全体の集客のカギを握る大型のテナント)の立地を確認し、人の流れがどのようになっているのかをチェックすることも必要な作業の一つです。

最近では物販エリアに1店舗のみ飲食店を開店している立地ケースもありますが、比較的厳しい戦いを強いられているテナントが多いように感じます。

理由は、施設内であるにも関わらずわざわざ立地になっているためで、繁盛させるために個店舗での細かな対策が必要となるからです。要するに飲食店の存在に気付いてもらい難い立地ということです。

この立地の場合、飲食店へ誘導するための看板やサインを活用し、お客さまに飲食店の存在をしっかりとアピールし、繁盛する店を目指していくことが必要となりますので、施設側との事前協議は必須ですのでご注意ください。

それと余談ですが、飲食店の席数や業態にもよりますが、週末と平日の客数を比較をした場合、集客力は2.5~4倍の差があります。そのためシフト調整には非常に苦労します。

特に商業施設の開業時は、繁盛するタイミングが同時期に来ます。全店舗、全業態が繁盛してしまうことが予想されるため、飲食店を含む全テナントが採用をはじめるますので、時給が一気に跳ね上がります。

その場合、後々の人件費の高騰を防ぐために数か月後にそこの調整(時給改定)が出来るよう飲食店のスタッフとの雇用契約を結ぶことをお勧めしています。

客層ですが、平日は女性中心の主婦層、土日と祝祭日は圧倒的にファミリー層が多いため、ターゲットにマッチしたメニュー戦略が不可欠です。

フードコート内出店に抑えるべき5つのポイント

例えばフードコート立地への出店時のポイントは以下の5点です。

  • シズル感
  • ライブ感
  • ボリューム感
  • メニューの豊富さ
  • リーズナブルな価格

人間は五感である視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を用いて飲食店を捉えます。

まずはお客様の注意を引く店構えで、そこに飲食店があることをお客様に気付いてもらうことが繁盛する店のポイントです。

さらに購買行動につながる匂いや調理の音を出すメニューで構成し、さらに繁盛する店へとしていきます。

あとは飲食店で食べていただき、お得感を感じていただくことが出来れば継続的なリピートに繋がり、確実に繁盛する店になります。

通常の飲食店であれば、店頭の入りやすさは繁盛の重要なポイントとなります。店内が明るく見えて、美味しそうな雰囲気のする店内装飾にし、何よりも飲食店内の清潔感を表現することは繁盛の絶対不可欠な要素となります。

特性4:観光地立地

次に観光地立地で繁盛する店について解説します。

観光地立地とは、観光地にある飲食店のことです。

観光客に特化した商売をしている立地のことで、メインターゲットは観光客となります。

客数の80%以上が新規のお客様で構成されている立地を指します。

観光地立地の来店動機の6要素

要素①:安心感

飲食店の繁盛する時間帯は、常にお客様で満席ウェイティングでごった返しているため、美味しいだろうと感じてもらえます。

お客様を待たせるスペースを歩行者から見えるところに作るのも繁盛店作りのポイントです

要素②:地産地消

地元の食材、商材を使用していることをしっかりとアピールすることです。

その季節の果物や野菜、もしくはその地元で有名なそば粉を使用した手打ち蕎麦などを飲食店で提供し、「観光地ならではの特別なものが食べられる店」を店頭で全面的に打ち出します。

要素③:高単価

飲食店のメニュー単価はある程度高くすることで、良いものを使用しているというイメージを持ってもらえます

高すぎるのも問題ですが、周辺の飲食店の価格をリサーチし、「ある程度」高めの単価に設定し、繁盛している飲食店を演出します。

要素④:老舗感

外観、内装が創業50年という感じでその飲食店でチェーン店ではない雰囲気をしっかりと打ち出します

古民家を改装したイタリアンが繁盛しているなども実は同じ効果が理由です。

要素⑤メディア露出の高さ

マスコミ、SNSなどで飲食店を取り上げ、繁盛している店であるように演出します。

最近はインスタグラムで、視覚効果を利用した販促が主流になっていますが、繁盛する飲食店にとっては非常に有効な施策ですので活用すべきでしょう。

要素⑥:近隣住民のオススメ

地元住民がよく行くと評判の飲食店である。地元の人間=信用できる人、が行く飲食店であれば、「間違いない、外れはない」という感覚を持つためです。

これは行動科学の用語で「初頭効果」と呼ばれ、初対面の相手でも、あらかじめ友人から情報を得ていれば、そうした印象を相手に持ってしまうのと同様の原理です。

そのため繁忙期と閑散期のメニュー変更が必要になります

しかしながら、観光地立地だからと観光客ばかりに目を向けていれば、閑散期に地元のお客様が来てくれなくなり繁盛しなくなります。

逆に地元のお客様ばかりに目を向けていれば、入りづらい地元の飲食店になってしまい、大きな機会損失が発生し繁盛しなくなります。

立地も然ることながら、このバランスを考えたメニュー戦略を飲食店で取ることで、年間の収益のバランスを整え、繁盛させていくことが可能となります。

まとめ~飲食店の立地開発を成功させ繁盛店を作る~

飲食店において立地開発を成功させることができれば、新規開業の成功の確率を圧倒的に高めることが可能です。

そのためには通行量や商圏立地の多さに惑わされることなく、立地やエリアの特性と自社の業態コンセプトの特性を十分に理解した上で出店をすべきだということだけでも、まずはご理解くだされば幸いです。

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